ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─A R C A N A─8話UP ( No.15 )
- 日時: 2011/02/12 23:33
- 名前: 鷹の目 (ID: BZFXj35Y)
【8.裏で動く者達】
豪華で高貴な雰囲気を漂わせる赤い絨毯が敷かれた廊下、天井には一定の距離でぶら下がるシャンデリア。
エレベーターが開き、中から#Iの称号を持つヨルゴがスーツ姿で出てきた。
「えっと…………このRoomですかネ……」
ヨルゴはとある一室の前で止まり、3回ドアをノックする。しかし、答えは特に返ってこない。
「失礼シマース。」
部屋に入ると、目に入ったのは壁一面の窓から見渡せる東京の街だった。ちょうど、スカイツリーが目の前に見える。
窓の前のソファーには、片手にシャンパンのグラスを持った白髪交じりの髪の男性が座っている。
「来たかね。#Iの幼子よ。」
男性はシャンパンを一気に飲み干すと、グラスを脇のテーブルに置いた。テーブルの上には多種なワインがある。
「それで、#Rの始末はできたか?」
「Soory………あのBoyはPowerが覚醒してしまいマシタ。」
ヨルゴが男性に向かってそう言うと、男性は鼻で笑ってグラスに赤ワインを注ぎ始める。
「まぁいい。なら、次は貴様が行け。」
「任せな、おやっさん。」
ヨルゴの隣にあるベットの上に、花柄のシャツに竜の模様が入ったズボンを着た厳つい男性が胡座で座っていた。
男性の右頬には、“#D”と赤い痣が浮き出ている。男性が胸ポケットからサングラスを取り出し付ける。
「ったく、てめぇは相変わらずクズだなヨルゴ。俺がサクッと殺してきてやるよ。」
「なめない方がいいデスよ。あのBoyは、Strongですから。」
ヨルゴは男性に忠告したが、男性は口を大きく開けて笑い、ヨルゴの顔を睨みつけた。
「俺は‘前回’の生き残りだ。しかも、アルカナに特別として“ソード”の力も貰ってる。………餓鬼はイチコロだ。」
男性は不気味に微笑み、大笑いしながら部屋を出ていった。ヨルゴは舌打ちをして再びソファーに座る男性を見る。
「#Rは越後金治に任せておけ。ヨルゴ、君には次の使命を与える。」
男性はベットの横にあるスタンドに指を指す。ヨルゴはスタンドの置かれた棚を見る。
スタンドの下には、数枚の資料が置かれている。ヨルゴは資料を手に取り、一枚ずつ目を通して行く。
「Oh………北海道ですか…………遠いネ。」
「沖縄には#Nのミカエル、#Tの旗藤十次朗はアメリカだ。お前はマシな方だぞ。」
ヨルゴは表情を歪ませ、渋々承諾する。資料を持ってそのまま部屋を後にしようとした。その時だった。
「君も‘前回’、アルカナに選ばれて生き残った6人の1人だ。実力に期待してるよ。」
「OK。次は必ず成功させマス。」
ヨルゴは一礼すると、そのまま部屋を後にした。
**********
1人残った男性は、窓から見える東京の街を見渡しながらワインを口に注ぐ。匂いを嗅ぎ、上品に味わっている。
「おい、アーカーシャ。いるのだろ?」
「お呼び……ですか…………?」
男性が呼んだ瞬間、今まで男性以外誰いなかった部屋に黒いフードを被ったロングコートの男性が現れた。
コートの後ろには赤い十字架が描かれており、男性は不気味な雰囲気を漂わせている。
「アーカーシャ。君は#Jの始末を頼む。穏便にな♪」
「了…解………」
フードを被った男性は一礼すると、いつの間にか部屋の中から消えていた。
「さて、そろそろ本格的に始めようか。アルカナ、貴様は私がこの手で必ず殺す。」