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Re: ─A R C A N A─8話UP  ( No.16 )
日時: 2011/02/13 15:02
名前: 鷹の目 (ID: BZFXj35Y)

【9.目的】


教室に着いた春と久弥は息を荒げて席に座った。教室には誰もおらず、久弥は床に寝転がった。
「やばっ…………さっきの外人………なんなんだよ…エイリアンか……………」
「………分かんない。」
春は何となく、久弥にはアルカナのことや能力のことがバレてはいけないと思い隠した。久弥は特に疑ってもいない。
春はボロボロになった鞄を見ながら、アルカナについての疑問が1点思い浮かんだ。

─このような能力を与え、アルカナは何を望んでいるのか─

アルカナの考えていることが分からない。意味不明な強大な能力を与え、同志の筈の称号者と戦う。
ヨルゴとの戦闘で、この春の疑問はより一層深くなった。春がそんなことを考えていたその時だった。








『全て教えてやろう。#Rの幼子よ。』








「え?」
春は突然の声に前を向いた。教室の前ドアの付近に白いスーツに白いネクタイを着た青年が立っていた。
髪の色も白、顔色も病弱の様に痩せこけっており、瞳には‘生命’がない雰囲気が漂っている。
青年はニコリと春に微笑み、黒板の前に移動した。
「だ、誰だ……………」
『アルカナだよ。僕はアルカナ、よろしく。#Rの幼子よ。』
青年は前にある教卓の上に座り、春を見つめながら再び微笑んだ。春は一瞬の事で動揺したが決心して聞いた。
「お前の狙いはなんだ、一体、どうしてこんな能力を与えた?」

『世界を支える存在の次期後継者を決める戦い………とでも言っておこう。』

アルカナは教卓から降りると、教室の窓を開けてグラウンドを眺める。心地のいい風が当たり、白い髪が靡いている。
春はこの時、ふと久弥の方を向いた。久弥はまるで、時が止まっているかのように動かない。
「ひ、久弥!?」
『大丈夫だよ、僕が時間を止めている。それより、君はまだ質問したいことが山ほどあるんじゃない?』
アルカナに図星を突かれ、春は頭に思い浮かんだ疑問を1つずつアルカナにぶつけた。
「世界を支える存在って………なんだそれは…………」
『簡単にいえば神。僕は現在の神だ。言っておくけど、昔から続いている。これは10回目の神を決める戦いだ。』
「は!?前にもこんなことがあったのか!?」
春が聞くと、アルカナは景色から春の顔に視線を移しながら何度か頷く。
『だけど、前回の戦いでアクシデントが起こった。それもかなり面倒くさい事だよ…………』
アルカナは大きなため息をつき、春の前まで歩いて来た。春は間近にアルカナを見て、不思議と安心感を得た。

『戦い終了後は能力と痣が自動的に消える。しかし、前回は消えず、現在能力を2つ持つ者が存在する。』

アルカナの説明を聞くと、春の脳に再び新たな疑問が思い浮かんだ。
「どうしてそんなことがあった?てか…………能力を2つ持つ奴は今も…………生きてるの?」
『簡単に説明してやる。紙とペン貸せ。』
アルカナに言われ、春はボロボロになった鞄からノートとペンを取りだしてアルカナに渡した。
『僕は口で説明するよりも文字で説明するのが好きだ。』



            ────────

≪前回の次期世界を支える存在(神)を決める戦い≫
選ばれた人数:26人  時代:1994年  
26人の内18名が死亡。生き残った7名の内の1人が俺、現在の防衛省大臣、残り5名は知らん。
7名の内、俺が神に選ばれた。その時、俺の能力と痣は消えたが、残り6人の痣は消えなかった。
原因は不明。そして、当時の神は俺と入れ替わって下界=この世界に戻ったが病死で亡くなっている。
そして、あれから16年の時を経て、再びこの戦いが始まった。


≪今回の次期世界を支える存在(神)を決める戦い≫
選ばれた人数:32名  時代:2010年
本当は26人の筈だったが、称号を持つ者がすでに6名存在しているので、上乗せという感じで32名となった。
最大の問題は、すでに称号と能力を持つ6名に、新たな能力が与えられたこと。
恐らく、前回の戦いを知っている6名は何か企んでいる。能力を悪用するか、それとも違うことか。