ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

プロローグ ( No.1 )
日時: 2011/02/10 20:19
名前: 深山羊 (ID: wkhjenUE)


 空には幾億の星が輝いていた。
 幾億の星空の下に赤みがかった茶髪をした青年が横たわっていた。
 彼の額からは血が流れ、やがてそれが閉じられた眼に浸みていく。
 すると青年はゆっくりと目を開けて片腕で目をぬぐう。
 血で濡れていた目は徐々にその色を表す、エメラルドグリーンの色をした瞳。
 青年は体を起して辺りを見回す。
 空は暗く唯一の光は星の輝きだけだが辺りは昼の様にしっかりと目で分かる。
 緑に覆われたその場所に唯一の家が青年の視界に入った。
 草原の上に立ち、スボン、コートについた草を掃う。
 少しだが血で濡れたコート。しかし、元々赤に浸したような色をしているので目立つことは無かった。
 広い草原に一人。走ることも焦ることもせずに家に近づく。
 形容しがたいその家の材質に青年は触れたりして考えるが結局何も分からなかった。
 そして、木製のドアに手を当ててゆっくりと押して中に———