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第十二話「幸せは届かない」




「あと、一分♪」
「はぁ！？」
「一分？やばいよ！早く逃げなきゃっ」
「じゃ、こっちから逃げましょう！」

たったった。

「あはは〜♪」

















「もうすぐで…出れる…！」

ドォン！！！

「はぁはぁ…はぁ…」
「逃げれた…やった…」
「よかった…」

もう、これで…鬼ごっこは終わりだよな。

「…みぃつけた…」
「おわっ！！」
「誰ですか、あなたは！」
「…綾瀬　遊佐彌」
「お前も…鬼…？」
「…鬼」
「にげろぉぉ！」

なんで…終わんねぇんだよ。
くそっ！

「店の中に入ろうよ！」
「入るぞおお！」

たったった。

「…待ちなさい」
「誰が待つか！！」
「お、お前…健吾か？」
「鶯！！お前も追われてるのか！？」
「ああ、良介っつー奴にな」
「ははっ、ま、がんばれよ」
「言われなくても、わかってる」
「…もうすぐ朝…朝までに捕まらなきゃ、百合が怒る」
「百合ちゃん怒るのぉ！？」
「だ、だが俺は、捕まらないぜ…」

















午前　五時四分

「朝だ。…はぁはぁ」
「百合が…怒り…ますね…」
「…捕まらないなんてひどい…！捕まらないなら、死んじゃえ！！」