ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 機械達ノ笑ウ場所 オリジナルキャラ募集中です ( No.14 )
- 日時: 2011/02/13 11:43
- 名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)
一話 outerside 異世界からの訪問者
昼間の騒ぎからしばらく経ち、この白い森にも静寂が戻ってきた。
そして時刻は進み、白い森にも闇が訪れる。
森には誰もおらず、ただ静寂が支配する。
しかしそこに、またも騒がしい来客が。
バチ——バチ——
電気の爆ぜる音に似たそれは、何も無い空間に亀裂を入れる。
そのまま、亀裂は更に広がり、やがて人が通れる程の穴になった。
「……っと」
そこから、若い女性が飛び降りた。
穴があるのは地表から4メートルはある。
その高さを彼女は何の問題もなく着地した。
「座標を確認……ん?何だ、データが表示されない?」
彼女はしばらく何かを操作していたが、やがて諦めたように溜め息をついた。
「……物質転送のミスか。しかし、どこだここは?」
周りを見渡す。
あるのは、真っ白い雪のような低い草と、幹まで白い純白の大木の数々。
「……地図も表示されない。まさか、な……」
中性的な顔に若干の絶望が広がる。
黒いスーツでビシッときめたその女性は歩き出した。
歩く度、銀色の美しい髪が揺れる。
印象的なのはそれだけではない。
長身なその女性の後ろから、ケーブルのような物が飛び出ている。
それは尻尾のように揺れる。
女性は歩きながら、通信機のような物を取り出し、懸命に話しかけている。
「……こちらR-5001、応答求める」
しかし通信機は無反応。
「まいったな。あの人にも連絡が通じない」
女性は、懐にそれを戻し、立ち止まる。
そしてまた歩き出す。
少しの時間歩き、立ち止まる。
「キミ達の居場所は分かっている。偵察してないで姿を現してほしいんだけど」
背後を向き、暗闇に喋りかける。
しかし、こちらも無反応。
「……だから、そこの真正面の木の上のキミ、右43度の大木に隠れているキミ、そして私の常に真上を飛行しているキミ」
溜め息のあと、彼女は的確に『彼ら』の居場所を言い当てた。
数秒の静寂の後。
がさ——
木の上から。右奥から。そして頭上から。
3人の子供が女性に対峙する形で姿を表した。
「……動きからして普通の子供じゃないよね。それでもいい。この場所がどこなのか教えてくれる?」
優しい口調で尋ねるが、子供たちは何も答えない。
「……」
それどころか、手に持っている機関銃を女性に向けた。
3人とも無表情だが、友好的な雰囲気は微塵も感じさせない。
「……話し合いは無駄、か」
女性の青い瞳がすぅっと細くなる。
女性は体勢を低くし、構える。
「本来は大剣を使ったほうが得意なんだけどね。仕方ない、たまには格闘戦もやっておこうか」
余裕の笑みさえ浮かべている。
そのまま3人は女性に向かって容赦なく発砲。
女性は地を蹴り、一瞬で姿が消えた。
これが、白の森で起こった出来事。
他の場所でも、同時刻、とても大きなことが起こっていた。