ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 機械達ノ笑ウ場所 ( No.2 )
- 日時: 2011/02/12 14:51
- 名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)
プロローグ 人を救う兵器?
何も無い森の中。静寂だけが支配するはずのここに、乾いた炸裂音が木霊した。
「ひ、ひぃぃぃ…」
若い男性が、必死の形相で闇雲に走っていた。 服装には、所々に血の染みが。
「な、何なんだあいつらは…!ひ、人じゃねえのか…!?」
混乱する頭を必死に整理しても理解できない。
パンッ!
「ひぃ!」
銃声が響くのと同時、近くの木に弾痕が出来た。
「何で!?何でもう追ってこれるんだ!?」
理解出来ない。ここは地元の人間すら迷う白い森のはずだ——
そう思った刹那、もう一回銃声が響く。
「ぎゃああ!」
続いて足に、焼けるような熱と鋭い痛み。
「ひ、ひぃぃ」
右足を撃たれた。
それでも、足を引き摺りながら必死に逃げる。
血の道が地面に出来る。
————ザシュ。
「ぎゃぁぁぁ!!!!」
今度は、何かを叩き斬るような音がする。
男性の右腕ごと吹き飛んだ。
切り離された右腕が、鮮血を撒き散らしながら空を舞う。
「い、痛ええぇ!!!何で!?何で腕がぁぁ!!」
今まで体を支えていた物が無くなり、男性は崩れ落ちる。
何が何だが分からない。何もかもおかしい!
「くそぉぉぉお!!」
残った左手だけで何とか前に進もうとするが。
ダダダダダ!!
「ぐあっ…!?」
速射する弾丸が男性の体を撃ち抜く。
「…くそぉ」
自分は逃げそこなった。ようやくこの答えに行き着いた。
歪む視界の中、草を踏む足音と、影が見えた。
「…?」
見上げたそこにいたのは。
「こど、も…?」
10代前半の小柄な少女。
歪む視界でははっきり見えないが、間違いない。
子供だ。
手には、右手に短機関銃、左手にレーザーの刀身を持つ剣が。
長い前髪で表情が見えない。
ただ、見下ろしている。
だが、男性はこれで思い出した。
「クソッ…たれ…。東の…機械…人形じゃねえか…」
あまりにも有名なことだ。
東の国は無差別に、ただ殺し、壊し、焦土にする。
そこに好き嫌いはない。
「…何…だよ…殺…せよ…」
自分が長くないのは理解した。
しかし、この木偶人形に悪態の一つに言わないと報われない。
こいつに殺されたであろう、家族たちは。
「へ…木偶人形…に殺される…たぁ」
俺もついてねえ…な。