ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 機械達ノ笑ウ場所 オリジナルキャラ募集中です ( No.24 )
- 日時: 2011/02/15 14:09
- 名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)
2話 Doubleside 私たち以外の機械人形!?
「……おい」
誰かが、呼んでいる。
「……おい、しっかりしろ」
聞いたことの無い、女性の声だ。
「お姉ちゃん!」
今度は激しく揺さ振られる。
「ん……?」
重い目蓋を開ける。
「お姉ちゃん!」
視界に、黒赤い髪が入ってきた。
「水……晶?」
「よかった!よかったよ!お姉ちゃん!」
痛む上半身を起き上げると、見たことのない女性。
銀色の長い髪に、青い瞳。
長身な体を、黒いスーツで決めている。
ここは白い森のはずだ。
こんな礼装をきてる女性がいるはずがない。
「…う」
どこか強く打ったのか、頭が痛い。
「お姉ちゃん?どうしたの?」
「物理的に頭が痛い」
「大丈夫か?」
女性に尋ねられた。
「……はい」
この女性の素性が分からない以上、油断は出来ない。
警戒する翡翠に、気付いてないのか女性は安心した表情になった。
「いや、キミ達は話が通じるらしい。助かる、ここがどこだが教えてくれる?」
女性は、溜め息雑じりで続ける。
「彼らに聞こうと思ったんだけどね。襲ってきたからジャンク品になってもらった」
親指で後ろを指す。
「あれは…」
それは、元機械人形だろうか?
見るも無残に、文字通りジャンクになっていた。
「場所を教えて欲しいって言った?お姉さん、誰?」
水晶はその女性を見上げ睨む。
「まさか、偵察強襲形を素手で倒しておいて、普通の人間とか言ったら、殺すよ?」
「水晶!」
仮にも助けてもらった相手に、この言い方はないだろう。
「お姉ちゃん、この人。もしかして、北の人間かもしれない」
「……北の人間」
北——それは世界の方程式を全て解くため他国を攻撃する北方の国。
魔術と呼ばれる特殊な術を行使する彼らなら、素手でも偵察型程度なら瞬殺出来る。
「私?私は、セリア。セリア・アードラースヘルム。製造名はR-5001
」
「製造名……?」
聞き慣れない単語を聞いて、水晶は首を傾げる。
「簡単に言うと、彼らと同じ。機械だ」
「!!」
「!?」
水晶は驚愕、翡翠は困惑した。
「それがどうかしたの?それより、この場所はなんという場所?」
本人は何でもないように言った。
「お姉さん…東の、新型?」
「東?何のこと?もしかしてこの場所に何か関係あるの?」
「東のことも知らない…?」
ここまでお互いの認識にズレが生じるのは普通じゃない。
「ここは、白の森。真っ白な草と木が生える深い森」
翡翠は、落ち着いて彼女——セリアに説明した。
「そうか…。やはり、ここは違う場所なんだね」
彼女は彼女で、納得したらしい。
その時だ。
ダンッ!!
「!?」
咄嗟のことで分からなかった。
銃声だと理解したのは、1秒後。
「いきなり発砲とは……穏やかじゃないね」
撃たれたはずのセリアは何時の間にか大きく距離を置いていた。
「お姉さんのその運動神経。やっぱり機械なんだ」
水晶は、散弾銃を構える。
今発砲したのは、それらしい。
「お姉さん、邪魔だね。殺していいよね?」
「そっちがその気なら、こちらは断る理由はない」
水晶はゆっくり立ち上がる。
セリアは、体勢を低くする。
「お姉ちゃんとあたしを介抱してくれたことはありがとう。でも、お姉さんは機械なんでしょ?あたし達は、機械だけど機械じゃない」
「言ってることはよく分かんないけど、つまりキミ達は敵なんだね?」
「そうだよ。お姉さんみたいな機械もどき、あたし嫌いなんだ」
「そう。なら、敵対する理由は十分だね」
「……」
成り行きを見つめるしか出来ない翡翠だった。