ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Clown・the・dark -辟易の番人- ( No.11 )
- 日時: 2011/02/13 14:54
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: 描写に力を入れてみたけど限界・・・
「……準備しろ。」
宮本は神妙な面持ちを残したまま、相手の攻撃に備えそう言う。
やはり予感は的中した。
バリーンという乾いた音は何かを知らせる。
「…ほう、ZEEKか。」
奥の割れたガラスから見える銃を持ち、防弾チョッキに防弾ヘルメット。
そして腰には手榴弾の様な物や、ナイフ。
案の定無線機は無い様だ。
胸につけられた小さなエンブレムを宮本は見逃さなかった。
小さく枠は黒色で文字は赤色 そしてZEEKと書かれている。
漆黒の闇を纏ったような男達は五十嵐達を見つけると、即座に銃を構える。
「甘いですよ、所詮無能力者 去れ!」
山本は威勢の良い言葉を盾に、右手の中に小さな竜巻を浮かべる。
そして山本はニヤリといやらしい笑みを浮かべると、右手を掲げた。
右手の手の中からは轟音が聞こえてくる。
ゴオ、ゴオ、ゴオと竜の怒号の様にけたたましく轟音がビル内に響く。
しかし漆黒の闇を纏った男達は怯む事無く、尚銃を構え続けるが撃つ気配は感じれない。
漆黒の闇を纏った男達、否ZEEKの男達は虚しく風に吹き飛ばされ、オンクリート製の壁に顔面を強打する。
だが顔面を強打し気絶をした男を後に、急がしくまた新たなZEEKの奴らは集まってくる。
「面倒ですね…………… そうだ、五十嵐君。」
山本は依然右手の中に風を浮かべながら、額から汗を流しながら五十嵐を呼んだ。
予想外にも五十嵐は返事が遅く、虚しくも男達はじりじりと近づいてくる。
「…電撃を放ってください。」
山本は小さな声でそう言った。
その光景を狼の様な目で凝視している宮本も何もしていないわけではない。
相手の距離感を掴み、操ろうとしているのだ。
「電撃…はい、やります…!」
瞬間、五十嵐の左手が電撃を帯びた。
近づいてくる男達も動揺を隠せないのか、立ち止まる。
電撃を帯びた左手は段々とビリビリという音を響き鳴らせた。
巨大な稲妻を連想させる様な左手は、不安をかきたたせる。
虚しくも五十嵐は電撃を帯びた左手を前に突き出し、手のひらを開いた。
刹那、男達からバリバリという音が聞こえ、シュ———…と煙が沸いた。
防弾チョッキも流石に電撃を防げないのか、所々が焼け爛れている。
しかしそんな滑稽な景色に視線を向けている場合では無い。
ふと宮本は窓ガラスから外を覗いた。
月明かりが灯された夜の地面にはZEEKの男達が大勢と居る。
僅かに見える人間じゃない何か、目を凝らしてみるとそれはロボットであった。
ロボットを凝視している宮本を他所に、ZEEKの男達はどんどんと数を増やしていく。
夜とは言え、これは一般市民の視線も集まるだろう、と思っていたが市民の姿すら見られない。
「魔術……人避けの魔術か!」
宮本は超能力を遥か凌駕したといわれる魔術の存在を口に出した。
五十嵐、そして山本は魔術の存在を耳にし、背中が凍りつく。
この戦いはまさしく戦慄を呼び込むものだった。