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Re: Clown・the・dark -辟易の番人- ( No.18 )
日時: 2011/02/16 17:33
名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
参照: 山本ォォォォォォォォオ




「魂を売る事の根底的理念を伺いたい、悪魔よ。」
一人の男が眉をひそめてそう言う。
それ故に魂を売り強大な力を手に入れようとする欲まみれの人間が居るらしい。
その人間の被害を食い止める、と発言したのは男。
正確に叙述するならば、ある組織がそう宣言したのが発端である。
そしてその組織の犬がこの男だ。
魂を売ったと言う悪魔に質問を求めるのだが…

悪魔は自嘲する様に言った。
「魂を売った人間は、もの凄い力を手に入れる。」
平淡な悪魔の声は古いカセットテープを流した様な、それほど平淡な声だった。
しかし質疑応答を成していない。
魂を売られた人間におきる変化を悪魔は延々と喋り続けた。
流石さすがに男もヤレヤレという感じで肩を竦めながら呆れた顔をする。

「……悪魔は魂を売り、強大な力を手に入れた人間を莫迦にしながら、最後ヲ見届ケル。」
段々と悪魔の声は機械の様に不自然になる。
カチカチ、キリキリと悪魔から聞こえる不可解な音は男の額から流れる汗をただ増やすだけであった。


「見届ケタ後ニ、世界は消滅ス…………」
悪魔は喋るのをやめた。

「おい! 何とか言ったらどうなんだ!」
男は怒号を撒き散らす。







「カカグヨツラヘヨニュハチュヘラツヨハガムラチャカキコクケコカハサアシウエオアイエウオイアアエハヤハケメバ」

その瞬間悪魔は口から血を吹き出し倒れた。




第四話「日本、消滅。」



「……デビル。」
神無月は言う。
このうじゃうじゃと沸き続ける魔物の名前を。


「良く分かったものだ、まあもうすぐ貴様は死ぬのだがな。」
勝利を目前としている勝者の戯言にしか聞こえなかった。
しかしそれに構うはずも無く、神無月はジリジリと距離を取る。

しかし無駄な事に、円から放たれた魔物、悪魔は距離など気にせず猪突猛進する。

「チッ………!」
神無月は神妙な顔をしながら、近づいて来る悪魔に気を払う。
そして鋼糸で一掃しようと考えたのか、特別製グローブの手中には大量の鋼糸がもたれている。

その時、後ろから電撃が放たれた。

悪魔は奇声を発してその場に倒れる。
案の定悪魔の数は少なく、クラウザーという一人の召喚師は驚いた表情を思わせぶりに見せる。

「ふうむ、私が相手した方が良いか。」
とても余裕そうな言葉を後にクラウザーは近くに置かれていた赤い銃を手に取り、

撃った。

わざとはずしたのかは分からないが、ビルの入り口は恐ろしい程に焼け焦げ粉砕されている。

「この銃は今の未来的科学…否サイエンスを最大限に駆使し作られた小型荷電粒子砲トナティウver1.0」

トナティウ。
アステカ神話における太陽神であり、好戦的な戦神の側面も併せ持ち、当時のアステカ民族は捕虜をしばしばトナティウに預けていたという。
それ故にこの荷電粒子砲トナティウは太陽の光の様に相手を皆殺しにするのだろう。

クラウザーが手に持っているトナティウver1.0は拳銃より少し大きくなった程度の大きさで、それ故に恐ろしさを放つ。

静まり返った戦場。










「……俺があいつを操る、その間に逃げろ。」
勇敢にも声を出したのは宮本 真治だった。