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Re: Clown・the・dark -辟易の番人- ( No.8 )
日時: 2011/02/12 22:00
名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
参照: 本当に急展開



第二話「篭城戦」


窓ガラスを割った正体は、黒い防弾チョッキを被った男達だった。
案の定こちらには人数が三人しか居ないのに比例して、相手は60人程居る。
夜、煌びやかに光る月の後光が優しく彼らを照らしながら、邁進は進んでゆく。

「面倒ですね。」
山本は割れたガラスから見える光景を揶揄する様に言葉を吐き出す。
『風を操る』能力を持つ聖にとっては、あんな奴らは相手にもならないのだろう。
しかしそれは山本に限った事では無い、大能力を持つ人全てが思う事だ。
大能力の定義は、『人に危害を加える能力』である。
装備を体に纏い、手には銃が持たれている奴らに危害を加え追い返せばいい話である。
しかし口先では何とでも言えるが、現実では行動を起こせないのが現実、否事実。

「…面倒なら……潰す……ただそれだけだ。」
宮本は槍の様に口を動かすと、急に立ち上がる。


「篭城戦だ、全員…と言っても二人だが、動くな。」
再び槍の様な言葉で宮本は言った。
2人であんな大人数を相手したのなら、大能力を駆使したとしても勝てる要素は見当たらない。
もし勝てるとしても、その後の安堵をゆっくりと楽しめる保障は無い。
動かず、焦らず、落ち着き、留まり、様子を見て、殺.す。

「………ええ、了解しました。」
「オーケイです、電撃ためておきますよ。」
山本と五十嵐は宮本の冷たい言葉に明るく返事を行った。

「…留まれ、息を殺.せ、そして……」
宮本は息を吸い、言葉を吐く。

一瞬にして場が凍った。




「一人残さずやれ。」