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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Clown・the・dark -辟易の番人- ( No.9 )
- 日時: 2011/02/13 12:51
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: 本当に急展開
男、いや宮本の言葉はいつもより重く感じた。
日本班という大きな物を背負っているのか、リーダーシップが感じられる言葉であった。
それ故に日本班に所属している、という責任感が徐々に体に纏われて行く。
山本は一回小さく深呼吸をすると、死にませんとでも言うように真顔で宮本の目を見つめる。
その中神妙な面持ちでその光景を見ていたのは五十嵐であった。
宮本は目をそらず、顔を動かさず、小さく息をしながら山本の視線をにらみ返した。
尚、山本に視線を逸らす気配など無い。
なおざりに視線を向ける二人には、動物が獲物を見つけた様な目でにらみ合っている。
「来ますよ、そろそろ。」
宮本を睨むのを止め、山本は割れた窓ガラスを凝視しながら言う。
しかし信憑性に乏しい言葉であり、信じられる訳では無い。
しかしこの絶体絶命の状況下で、人の言葉に猜疑感を毎度抱けと言われる方が無理だ。
「…ああ。」
宮本も山本を睨むのをやめた。
「ふう……」
五十嵐は疲れを吐き捨てる様にため息をついた。
それに何か意味がある訳ではなく、意味が無いわけでは無い。
ただ篭城戦ということに対しての不満を抱いているだけである。
「……番原は来てないんですか? …あいつが居れば戦力が上がるのに…」
番原 友則(つがいはら とものり)。
『瞬間移動』というポピュラーな能力を持つ男。
日本班の偵察係であり、信頼が厚い。
「偵察係としては有能な男だが、戦闘は苦手な奴だ。」
宮本は冷静に、かつ神妙な面持ちでそう言った…
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