ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.12 )
- 日時: 2011/02/27 01:57
- 名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: cPRWXRxr)
第四話 運命の歯車
セラがこの家に来てから2日がたった。やっと熱も下がってうなされることも無くなったが、一度も目を覚まさなかった。
「どうだ?あいつの具合」
「今は随分よくなってはいるけど……何も食べてないみたいだし……心配ね」
「敵国の王女にそこまでする必要があるのか?」
ラックスとレイラ、二人でセラのことを話し合っていると、アシルが冷淡な声色で問うてきた。そこにライが割って入る。
「アシル……そんなにあの娘が気に入らないか?」
すると、アシルの無表情な顔の眉間にしわがよる。
「気に入る気に入らないの問題ではない。もし、これが王宮に知れれば俺達も危険にさらされる。そんなことまでして守る必要性など……ない」
「おいおい、そりゃねぇだろ。まだ小さな女の子をここで殺して……」
「あいつは王女だ。ただの女の子ではない」
「二人とも落ち着いて……」
ラックスとアシルの言い争いが勃発しなんとか止めに入るレイラだがただオロオロするばかりで根本的な解決にはならない。
「「お前は黙っていろ!」」
珍しく声を荒げないアシルまでもが怒鳴りつけたそのとき、ライは背筋に氷解のようなものが伝ったような気がしてそっとレイラとの距離をとる。
「………黙ってろ……だぁ……?」
何か黒いものがレイラを取り囲む。二人もひくりと息を飲んでのろのろと振り返る。
ヤバい。これは相当ヤバいっ!!
三人が冷たい汗を伝わせる。そして……
「なぁにが黙ってろだぁ!?ふざけんな!!こっちはあんたらのそんなくだらない言い争いを聞く羽目になって、止めてやろうとしてんだよ!!だいたい、アシル!その物言いは聞き捨てならないわね、あんたには男としてのプライドがないの!?それからラックス!そうやってすぐに取り乱していっっっつも迷惑かけてんの分かんないの!?ライもよ!幹部としての威厳をもちなさい!!だいたい……」
凄まじい勢いで言葉を並べる彼女は先ほどとは打って変わり鬼の形相で三人を叱り飛ばした。これには三人も為す術がない。
すると家中に怒号が響き渡り、奥の部屋でガタンと音がした。
「……あら?起きちゃったかしら……様子見に行かないと……」
ころりと態度を変えてスタスタと部屋に向かうレイラの後ろ姿を見て、男三人は未だに沈黙をつきとおしたままだった。