ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.20 )
- 日時: 2011/03/13 20:11
- 名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)
第九話 再開
この国に来てから、三週間がたった。
相変わらず、夏の暑さは上昇していく一方で、蝉時雨がうるさいほどだった。
宝の在り方は全く分からず、ただ、未だにセラの存在がバレていないことだけが重畳ではあった。
しかし……このままでいいのか。何一つ目的を果たしていないセラは密かに頭を抱えながら、アシルとライの二人と共に街を散策していた。
「はぁ………」
そっとため息をついて肩を落とすセラにライは苦笑して、華奢な彼女の肩をぽんぽんと叩いた。
すると、突然アシルの足が止まる。
うつむいて歩いていたセラは、とんっとアシルの背にぶつかった。
「わ………ごめん」
「問題ない………それより、あの少女は……」
彼の指差した先には、汚れたフードをかぶったセラと同じくらいの少女が歩いていた。あれはまるで--------
「いつだかのお前みたいだなw」
「ちょっ………やめてよ。とりあえず話を……」
ライとセラ二人でこそこそと言葉を交わしていると、ふいに少女の体が傾いた。アシルが風をきって駆け出す。
「ぁ…………」
そのまま倒れる………はずだった少女は突然、ふわりと抱えられた。
「大丈夫か?」
「は、い。ごめんなさ………!?」
がっちり受け止めたアシルの顔を見た瞬間、少女の表情がこわばる。
と、遅れてライとセラが駆けつけた。
「だいじょうぶ………!?あなたは!」
「ん〜?セラ、知り合いか?」
セラの瞳が大きく見開かれた。そして、少女の瞳も同じようにして驚愕をあらわにした。
「メイリ様!?」
「セラ様!?」
同時に発せられた言葉にぎょっとしたアシルとライは、はっとして二人の少女の口をふさぐ。
たまたま人通りが少ないところにいたのが幸いした。
「っと、とりあえず帰らないとまずいぞ。なんたってこの娘………」
ライは一度息をきってアシルのほうをむく。
「ロザリア国の第十四皇女なんだからな………!」