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- Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.21 )
- 日時: 2011/03/13 20:52
- 名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)
第十話 ロザリア国の姫
ロザリア国-------エルフォード国に次ぐ大国。その国に君臨しているのが王女である第十三皇女ライリィ=ロザリアそして、その後継ぎであるのが十四皇女であるメイリ=ロザリア。かつてロザリア国とリンシア国は友好関係にあった。しかし、戦争のときロザリア国がリンシア国に援軍を送ることはできなかった。それは、エルフォード国からの指示だった。不用意に従わなければ、この国とて、あっけなく滅ぼされてしまう。
この事実を幹部とセラに明かしたメイリは小さく震えながら言った。
「でも、一つの手紙が国に届いたんです」
「手紙?」
眉をよせて聞き返すセラに、一つ頷いたメイリは今にも泣きそうになりながら言った。
「それは、エルフォード国から……戦線布告の書状でした。その戦争を回避できる術はただ一つ。私を、あちらに人質として送ること」
これには、皆、息をのんだ。ただ一人……ライからは殺気だったのが見て取れた。
「母は、絶対に城からは出るなと……しかし、先だってのリンシア国との戦乱……とても、今のロザリア国では敗北を喫すでしょう……」
「それで、一人でここに……」
セラは前にライの言っていた言葉を思いだした。
“いずれ、ロザリア国も滅ぼす気でいる”
前に、「仕事」の時言っていたことがこんなに早く起こるとは。セラとレイラは蒼白になる。そこで、ライが口を開いた。
「俺が……直接、皇帝に会って止めるように言ってくる」
「え………!?」
またもや、皆驚愕した。警備隊とはいえ、一般人にすぎない。そんな人間が皇帝にたてついたら------
「ちょっと!本気なの!?そんなの、死にに行くようなものよ!もっと別の方法が………!」
「いや………それしかないだろう」
「アシル!?」
アシルが平然と言い放つ。ライもそれに頷き、レイラが手を祈るように組む。
「セラ……ここは、ライに任せましょう。大丈夫。彼はただの警備隊じゃない。「ヘルフレア」の階級を持っている」
「ヘルフレア………?」
そういえば、初めて会ったときも言っていた。ヘルフレアとはなんだろう。
すると、今まで黙っていたメイリがそっと口を開く。
「エルフォード国の警備隊の中でつけられる階級のことですね?剣術、馬術、双方ともに優れたものがつけられる、と聞いたことがあります」
「ご名答。ライ、任せていいんだな?」
ラックスがゆっくり目を開きながら問いかける。対するライのほうは、ぎこちない表示で笑う。
「私からもお願いいたします!どうか、私の国をお救いください……!」
「メイリ様………」
頭を下げて頼むメイリを横目に、セラは困惑しながらも、言った。
「生きて、帰ってきなさいよ………?」
じっとライを見つめると、彼は一度、虚をつかれたような表情になった。しかし、すぐに微笑んで頷いた。