ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.27 )
- 日時: 2011/03/15 09:23
- 名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)
「さっさと殺しちゃえばいいのに。今からでも殺しますよ?」
「不要だ。好きに泳がせていればいい」
「相変わらずつれないんですね。あ、でもちょっと格好よかったかも♪あんなにしなくてもよかったかな〜♪」
「お前は下がれ、魔女」
皇帝にぎっと睨まれてもなお、その魔女の表情は変わらずニコニコと楽しそうに笑っている。
「はいはい、分かりましたよ♪」
上機嫌で部屋を後にした魔女に彼は、険しい表情を見せながらも、すぐに微笑みを浮かべて、近くの兵に命じた。
「兵の準備を。三日後には出陣する」
* * *
「ただいま」
「!おかえ……り」
嬉しくなって顔に出さないようにしていたセラは目を見張った。
「ちょ……どうしたの、その額の傷!」
「ん……あぁ、ぶつけた」
「ぶつけたって……血が出てるじゃない!レイラ呼んでくる!」
「え、おいっ……」
ぱたぱたと幹部とメイリの部屋に急いで向かうセラに、ライは苦笑した。
さすがに、ぶつけたじゃまずかったか……
「ライ!無事でよかった……額の傷、見せて」
レイラが手に薬箱を持ってこちらに向かってくる。その後に、幹部とセラ、メイリが続いてきた。
「見た目ほど大した傷じゃないよ。それより………」
ふっと顔を曇らせてライはメイリと向き合う。
「駄目だった。本当にごめん」
そう言うと、彼女ははっと目を見開いて、しかし無理に笑いながら言った。
「いいえ、どうもありがとうございました」
彼は、殺される覚悟で、取り次いでくれたのだ。
それをきちんと理解していたメイリはこんなときなのに、胸が温かくなったのを感じた。
すると、後ろからアシルが怒気をはらんだ声で言った。
「ライ……後で話がある」
それだけ言うと、アシルは再び部屋に戻っていった。
「はなしってなんだろ……」
全く訳のわからないようにして首を傾げたセラは、これからどうするべきか考えた。
「とにかく、今日はおそい時間だから、寝ましょう?ほら、セラとメイリ様」
レイラが二人を促す。レイラは?、と目で問うセラに苦笑を浮かべて扉を閉めた。
「まぁ、何はともあれ無事でよかった」
ふぅ、とため息をつくようにして微笑みを浮かべるラックスにライも同じようにして肩をすくめる。
「とりあえず、アシルの所に行くか」
もう、何を問われるか分かってはいるが。
そして、ライは夜おそくまで今日の出来事を幹部に明かした。