ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.7 )
- 日時: 2011/03/02 20:25
- 名前: 彰緋 (ID: cPRWXRxr)
- 参照: ユフィ→彰緋(あきひ)に変えました。宜しくお願いきます♪
「降ろせ!」
先ほどからずっと休む間もなく降ろせの連発をしていたセラははっと気がついたようにして顔をこわばらせた。
「あんた、警備隊っていったわよね?」
「ああ」
「この国はなんて国?」
「………お前の知っての通り、エルフォード国だ」
「……!?」
エルフォードの警備隊。いわば、警察のようなものだ。
リンシア国の王女と知れた今、王宮に連れてかれでもしたら……
「やっ……私にはまだやらなきゃいけないことが……!」
「俺の家に連れてくだけだ。それに……」
ライの顔が曇り、怒気をはらんだ声で吐き捨てた。
「あの男……大嫌いなんだ」
「あの男?」
「皇帝陛下のことだ」
「………」
なぜかこれ以上聞いてはいけないような気がしてセラも沈黙する。
すると、気が抜けたのか猛烈な眠気が彼女をを襲ってきた。
やがて、規則正しい寝息がこぼれて肩が上下する。
ライはセラを一瞥すると苦笑した。
この娘はエルフォード国を恨んでいるだろう。そして、おそらく自分自身のことも。
やがて、一つの小さな木造の家が見えた。
ドアを開けると、そこには三人の親友が出迎えてくれた。
しかし、腕の中で眠る少女を目にすると、明らかにいぶかしげるように眉間にしわを寄せた。
「おい、お前……」
「誤解だ。そのあからさまに汚いものを見るような目で見るのはやめてくれ、ラックス」
「ちょっと、説明してよ?この娘……だれ?」
青年と女性……ラックスとレイラが問いただす。
「さっき、街中で見つけてな……ろくに何も食べてないようだし、連れてきた」
「はぁ?……んで、誰だよ?」
「………お姫様だ」
「「は?」」
二人がすっとんきょうな声をあげる。もう一人の青年……アシルは軽く眉をよせ、何も言わずに考えこむ。
「おいおい……意味が分からないんだが」
「説明してってば」
ライは一つため息をつくと、顔を上げて言った。
「リンシア国の、アンジェ(天使)だ」
「「………は!?」」
二人がまたもや絶句し、レイラは持っていた食器を落として破片が飛び散る。
ラックスのほうも唖然とし、硬直して目を見開く。
「それは……たちの悪い冗談か?」
「いや、本当だよ……とりあえずレイラ、この娘を休ませてくれないか?話はその後だ」
「あ……う、ん…」
割れた食器を片付けて、レイラはセラをベッドに寝かせる。
「さて、説明してもらおうか」
ラックスが真剣な表情でじっとこちらを睨む。
「さっきも言っただろ?偶然街で歩いているのを見かけてな。怪しいから声を掛けたら切りかかってきたw」
「おいおい、笑い事じゃないだろ!王女は処刑されたんじゃなかったのかよ?」
「表向きはな。でも、実際は逃げられた」
「はぁ?聞いてないぞ!?……あっちの騎士団は何をやってるんだ………」
この後もずっと説明をする羽目になったライだったが、本当は別なことを考えていた。
そう…これはこんな軽い事ではない。このことが王宮に知られれば、間違い無くこの娘は殺される。それに……
「目的は同じ、久遠の宝だ」