ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 私の心の声を、叫びを。 ( No.17 )
- 日時: 2011/03/05 16:50
- 名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: テスト2つの意味で終わったんだぜ!!←
・。・。プロローグ・。・。
「あぁ、厄介」
——面倒だ、鬱陶しい。
「誰もわたしなんて必要としてないのに」
ふらつきながらその女は腕をぼりぼりと掻きながら、ぐちゃぐちゃに荒らされたその部屋のドアを開ける。
まだ夜みたいに真っ暗な、カーテン1ミリも開いていないその部屋のドアを。
+
カチャカチャという食器の洗う音に混じる鼻歌。
彼女はテレビを見ながら呟く。
「独り、嫌だ。 早く来て———新那」
ガシャ----------------ン
その傷だらけの腕から、真っ白い皿が取り落とされ———
「あああああぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁあああああぁぁぁっぁぁぁあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ-----------------------っ」
その破片を持ち、腕を思いっ切り引っ掻く。
多分今の彼女に痛みは解らない。 痛みを———感じていないと言っても良い。
足の裏にも破片が刺さっていることも気付かず、というか無視し、部屋を歩きまわる。
「っっっああああああああ!!!」
痒みを抑えきれないそのストレスが、自傷行為となる表れであろうか。 叫んで、掻き毟っての繰り返しで。
「昴ごめん———!!」
突如、玄関の扉を凄い音を立てて開き、後ろ髪をちょい、と結んだ少年が現れ、慌てて彼女を押さえ付ける。
「うあううあああああああああああああああああああああ」「落ち着けって!」
荒れた部屋で唯一正常に置かれたソファに少女を座らせ、少年は腕を押さえ付ける。
「ほら止めろ。 血ィ出てんぞ?」
今まで抵抗していた少女の手が一瞬にしてぴたりと止まる。
「に……い、な…?」
ぽたぽた、と腕から血を流しながら少年の頬に触れる彼女。
「うん、オレだよ。 ごめんな昴、オレが遅くなった所為で」
「違う、違うよ。新那の所為じゃ、ないから…っ。 ごめん、ごめんね、ごめんなさい」
涙と血が混ざった雫が少女、昴の服の上に落ち、模様を作る。
と言っても最初からもう血が付いているため、あまり目立たないが。
「2人で何やってるの。 飛田おまえ邪魔。 ぼくの昴が見えない」
「「!?」」
いつの間に現れたのか、いつからそこにいたのか解らないその色白美少年はナイフを持ち、新那の背後に立っている。
「お早う昴。 朝一番にぼく以外の男と会って、何のつもり?」
「お早う…ございます、富渡先輩」
雰囲気ぶち壊し、と言った感じだろうか、彼———富渡 雄太の登場は。
「先輩、来ないで、て言いましたよね…?」
「ぼくは昴に合わないとアレルギー発動しちゃうから」
———パワー発動、みたいな使い方しなくても。
一瞬眉をしかめ、そう思う新那。
「とりあえず先輩、昴が嫌がってるんで、出てって下さい」
「ふぅん。 ぼくに喧嘩売ってるの? 言っとくけど無駄な血は流したくないから喧嘩なんてしないよ」
そう言って突然
笑った。
「とりあえず、昴がぼくの手に渡れば問題無いんだよね…?」
そのナイフを構えて。