ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.1 )
- 日時: 2011/02/20 08:57
- 名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)
〜Ⅰ〜 「不良にも優しい心はあるのです」
俺は倉門 疾風。世間が一般に言う“不良”と言う存在だ。
別に俺から喧嘩を吹っ掛けるわけじゃねえけど、売られた喧嘩は買う。だから不良と呼ばれている。
実感ねえけど……。怖がって誰も近づきゃしない。姉ちゃんも俺を変に大切にする。
でも、同じクラスの壱波羅 亜梨華って奴だけ、よく俺に話しかける。奴も相当変わった奴だ。
俺を怖がらないし、普通に下校に誘ったりする。仕舞にゃ「アレに好かれるいい匂いだ」なんて言い出した。
カップルに見えるってよく小声で言ってる奴がいるけど……。そんないいモンじゃねえ。
何つーか……。もっと不思議な感じだ。どこかで切っても切れない縁がある。そんな感じにさせる。
「……」
そんな俺の前に、今亜梨華が差し出した物は4つの鞄。かなりデカくて重そうな、不思議な鞄。
「貴方は頭がいいから、理解していましたよね。私達には切っても切れぬ縁があると」
と、一つの鞄を開ける。そこには乙女チックな赤いドレスを着た人形が横たわっていた。
人間のように精巧で、今にも動き出しそうで少し恐ろしい。
「何だよ。何がしてーんだよ」
亜梨華の言ってる事は解る気がするが、何をしようとしているのかが解らない。
一緒に人形遊びでもするのか? ……んなワケねえよな。
「これに口付けて下さい」
そう言って俺の目の前に差し出した左手の薬指には、黒い宝石の指輪。学校に行っている時は気づかなかった。
「今の貴方になら見える筈です。どうかお願いします」
確かに、今の俺になら見える。でも、それ以上に切羽詰まった感じの亜梨華の方が印象に残る。
「それに口付けたら、どうなるんだ?」
とにかくとんでもない事には巻き込まれたくない。これだけは確認したい。
それに口付けたら、何か言葉では言い表せない大変な事になりそうだった。