ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.5 )
日時: 2011/02/20 15:39
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)

「疾風くーん……」
「やべっ、姉ちゃんが……!」
「痛っ、乱暴に扱わないでよ……!」
急いで人形をベッドの下の僅かな隙間に押し込む。人形に文句を言われた事は気にしない。

ガチャ、とドアが開くのと人形をベッドの下に隠し終えるのはほぼ同時だった。
「まさか疾風君が可愛い彼女さんを連れてくるなんて思わなかったわぁ。ごめんなさいね、こんなお菓子しかなくって」
「いいえ、お構いなく」
亜梨華の演技に完敗。全く普通の人間だよな……。今まで背中から羽根生えてたのに。
「もう、彼女がいるんならお姉ちゃんに紹介してくれなきゃダメよぅ」
「ウルセー、彼女じゃねーし」
ま、亜梨華は普通に美人だし、彼女だったら自慢できるけどな。
つか、今までの騒ぎに気づいてねーのか?
「お姉ちゃんも一緒にお茶していいかしら?」
図々しく座ってるし……。鈍感ってーのは助かるな。
「ええ、どうぞ」
二人はにこにこ煎餅食べながら話してる。


「うりゅー……。苦しいの〜」
「我慢しろですぅ」
「ちょっと、ドレスを踏んでるわよ……!」
「あ、ごめん。僕だ」
うわぁ……。滅茶苦茶話し声聞こえるんだけど……。

「まぁ、剣道に柔道に空手! 大和撫子ねぇ」
銀髪に赤い目の大和撫子がどの世界にいるかよ、バーカ。
「取り敢えず全部黒帯です」
亜梨華は人形達の声が聞こえないように、姉ちゃんとの会話を長引かせてくれている。
「疾風君も剣道と空手はやってたのよぉ」
「へえ、そうなんですか。通りでがっしりしてると思いました」
何気に過去暴露してんじゃねーよ。
「でも筋肉付きすぎちゃって、背が伸びなかったのよねぇ」
俺の身長に触れたな。タブーだぞ、馬鹿姉貴。

「あ、お姉ちゃん夕飯の買い物しなきゃ……」
よっしゃ、邪魔者撤退。