ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.11 )
日時: 2011/02/25 20:35
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)

「疾風、心なしか顔が赤いようだけれど」
昨日の嵐のような夜も過ぎ、今は清々しい朝……。と言っても、俺の体調は優れない。
「もしや“病気”と言うヤツですか? 馬鹿がなるものと聞きましたが……」
お前、俺を馬鹿だと思ってやがったな。成績は悪い方じゃねえぞ。ヤンキーだけど。
「馬鹿が勉強して知恵熱が出たんじゃない?」
毒舌双子かよ!! 最初は常識人かと思われた青玉石もやっぱ非常識な人形だった。
「お熱を測りましょー! なの〜」
何処からか体温計を持ちだした体温計を俺の前に差し出す。
「今日の学校は休みですね……」
いつの間にか俺の部屋にいた亜梨華。学校の支度はすでに終わっている。
「37.8分……」
微妙だよな。高熱なのか、普通なのか……。取り敢えず、今日の学校は休みか。

そして、姉ちゃんも亜梨華も学校に行き、安静に休めそうもない人形達の騒がしい声が俺の部屋に響く。
「うーん……。えいっ! です」
「びしょびしょじゃねーか!!」
人形は人形なりに気を使ってか、水でぬらした布を頭に当ててくる。が、全然絞れていない。
「おかゆなの〜」
青玉石と真珠石作のボロボロビチャビチャドロドロのお粥。身体に悪そうだ。
「ねえ、この家に大鏡はないのかしら」
「なんだよ、急に……」
大鏡か……。あのガラクタ倉庫にはありそうだけどな……。
「そうよ、生命の欠片を持っていそうな、大きくて立派な鏡」
また生命の欠片やら螺旋やら……。発病した人間に難しい事考えさせるなよ。
「あるんじゃねーの。倉庫に……」
「連れて行って頂戴」

そして、案の定病気の体に鞭打って、その倉庫に足を踏み入れる事になる。
「凄いね……」
青玉石はこの倉庫を見て、感心したようだった。
「様々な時間が交差して、生命の欠片が飛び交っている。これを集めたのは誰?」
「両親だけど」
こんな下らねえ物に金かけやがって……。と思ってたのに、意外とすげーものなのか。
「ここにあったですよ〜。お目当ての大鏡」

確かにでけえ。全身が映る、とかそんなもんじゃねえ。もしかしたら世界が覗けてしまうんじゃないか……。
と、思うほどに、大きすぎる鏡だった。