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Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.12 )
日時: 2011/02/25 20:52
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)


「これなら、鏡の国へ繋がるわね」
鏡に小さな手を当てる。すると鏡が歪んで見えた。次の時には、紅玉石の小さな手は鏡の中へ入り込む。
「行くよー」
誰も恐怖なく鏡の歪みに飛び込んでいく。
「お前も来るんだよ」
青玉石に乱暴に腕を引っ張られ、俺も鏡の歪みの中に。痛みとかは無く、浮遊感があった。

「あらぁ……。随分と早く逢いに来てくれたのねぇ……」
コイツ……。紫水晶だ。あの時の悪魔の翼の……。
「今日は金剛石様無し? それで勝てるつもりなのぉ?」
金剛石って亜梨華だよな。亜梨華と紫水晶がこの間戦って、互角と言うか、勝敗は決まらなかった。
「貧弱な人間と、不完全な貴方達……」
フフフ、と薄気味悪い笑い声。濃い桃色の瞳が薄められる。
「かかってきなさいな。宝石<命>が惜しくないならねぇ!!」

そして、またあの黒い翼が紅玉石達を襲う。
「私達の宝石<命>、貴方には渡さないわ……!」
黒い翼と赤い薔薇の花びらが衝突する。眩い光が放たれ、俺の指輪も熱くなる。
「くっ……!?」
肉が焼けるような熱さ。この指輪を通して、自分の力を吸い取られているような感覚。
「暫く我慢するですよ、人間」
緑玉石はフルートを構え、青玉石はバイオリンを構える。二人が奏でるメロディは気が狂うほど美しかった。
コイツらが力を使うほどに熱くなってくる指輪。この場に倒れそうな感覚。でも、倒れたらいけない気がした。
「一対四は卑怯よねぇ……」
と言いつつ、この勝負を愉しんでいる心底恐ろしい奴。
全ての攻撃は見事に翼によって無力とされる。
「紫水晶の翼なんて抜けちゃえー!!」
言った事が現実になる力を持つ真珠石。どうせなら「死ね」とか言えばいいのに……。
桃色の眩い光が紫水晶の翼を襲う。
「くっ……」
桃色の光は紫水晶の翼を押さえ、一切の攻防を不能とする。
「今なのよー!!」
両手を力いっぱい前に突き出し、頑張っている様子が解る。
こう言うの見たら、俺も頑張らなきゃ、って言う気持ちにさせられる。

「行くわよ、緑玉石、青玉石!」
「了解!」 「はいです!」
二人は同時に言い、三つの攻撃が一つの攻撃になる。