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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 空想の教室 ( No.3 )
- 日時: 2011/07/19 16:08
- 名前: 蒼依 (ID: n1enhNEv)
●本多千晶のはなし。
4月、入学式。
新しい高校のクラスの自己紹介で本田 千晶はこう言った。
「この世界に生きてる人達、みぃーんなお友達だと思ってまぁーす!! 仲良くして下さぁーい!!」
この紹介には教室にいた誰もが驚いた。今でも覚えている。
生きている人達みんな友達? とてもじゃないが同じ高校生とは思えない発言。
クラスの人間が「コイツとは関わりたくない」と、ドン引きしているのが分かった。
皆の気を引きたかったのかどうか知らないが、もしそうならばこれは完全に失敗だと思う。
でも悪い意味では成功かもしれない。「悪目立ち」という意味では成功だ。
私は本田の方を見た。
彼女は自己紹介を終えてホッとしたのか、イスを思いっ切り引いて席についた。
周りの人間の反応なんて気にしない性格なんだろう。笑顔のままだ。
この時私は、本田には絶対に友達なんて出来やしないと思った。
むしろいじめのターゲットになるんじゃないかとさえ考えていた。
でも本田のその思い切った行動が出来る勇気には羨ましいとも思った。
何故か分からないが、とにかく私には足りないものだってことは分かる。
だからと言って「どうしたら、そんな風に思い切った行動が出来るの?」なんて聞いたりしない。
むしろ、そんなものを持っている奴がどうなるのかその末路を見ていたい。
私はそれで満足できる。
さあ、本多千晶のおはなしのはじまり、はじまり。
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