ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【参照300突破!返信100達成!!】 ( No.112 )
- 日時: 2011/04/01 21:43
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 壁とでも話してろ(やーなこったパンナコッタぁ!ポンデライオンーww
家に入った女子たちは、青年の部屋の一つ一つを見回る。大きな本棚にはぎっしりと本が詰まれており、全て薬草などの本だった。そして、フラスコなども食器棚だけでは足らず、机などにも沢山置いていた。
やはり、臭いは強烈だが何分もいると慣れてくる。青年は簡単に机を綺麗にし、座るように手を椅子へ伸ばした。
青年は白髪で、瞳が見えないくらい細い目。この顔……どこかでと思ったアリス。隅々まで顔をチェックする。青年は困惑し、顔をプイッと逸らした。
「あぁ!!ノーテ!?どうして……!?」
「ノーテ。知ってるのか、お前ら。」
「知ってるも何も、今宿で泊まってるよ?大怪我しちゃって。」
「そ、それで、あなたはノーテさんとどんな関係で?」
スプリングは椅子に座りながら、青年の顔をまじまじと見ている。青年は机においてある本を片付けながら関係を話す。
「あいつは俺の双子の弟だよ。」
「ぶっは!!!関西弁じゃない!!って、双子のぉぉぉぉ!?」
ロッタは腹を抱えて、足をじたばたさせる。かなりの地響きで、フラスコが落ちかける。それをあわててすくってピシッとロッタを睨みつけた。
「す、すいません……。」
「はぁ。あいつもとんだ女と絡んでるんだな。俺は薬師のマティーナ・ステッレだ。間違えるなよ、あいつと。そんで、疫病だな?」
マティーナも椅子に座って肘を突く。えらく猫背のようで、体勢が低い。
「あれは、俺じゃない。魔法管理委員会の研究員だ。」
「魔法管理委員会!なーんでそんな大層な!!」
魔法管理委員会。それは魔力を持つ、武器や植物、それに魔法石などの物を管理し、魔力の暴走させないように保管するのも一つ。そしてもう一つは新たな魔力を作り出し、この世の守護をするため。ようするに、この世界の魔力の安全を、魔法管理委員会が管理しているのだ。
「あいつら……あいつらにしか出来ない技術で妙な菌を作り出しやがった。」
「妙な菌……?」
「あぁ。特殊能力や超能力を持つものにしかかからない菌だ。かかった者は必ず死に追いやる。」
今までに聞いたことのない、菌。一部を抜いては、自分たちも不思議な力を持った者。それを聞いて、背筋がひんやりと冷たくなる。
「でも、どうしてそんな菌を……。」
「そこんとこはまだ分からんが……、裏があることは確かだ。」
マティーナは椅子から立ち上がって、布で大切に包んである小瓶を持ってきた。そして、机において布を取る。
「これ。俺が作った。これで、なんとか疫病の菌を潰せるはずだ。」
「えー!たったこれだけで?」
ロッタは小瓶をシャカシャカ振る。金色の粉が眩く光っている。普通に見る分には綺麗だが、予想以上に少ない。これだけで蔓延しつつある菌をたったこれだけで消すと言っても無理ではないだろうか。
「いける。たったこれだけでな。」
シャカシャカ振られている貴重な薬をロッタから引ったくり、机へ優しく置いた。スリは弟似のようだ。
「万能草ウニベサルや伝説の癒しの水ナツラーレなどを配合し……
「あいあい。分かった。お堅い話は嫌いですんで、次の話題へ。」
アリスは苛立ちを顔にビンビンに出して、机を指でツンツン突付いている。マティーナは少し引きながら小さく頷き、瓶をパーチェへ渡した。
「あんた、お姫様だろ。あんたなら、信頼できそうだ。」
「えっ!?あたしらは?!」
残りの女子全員が机を乗り出して、マティーナに顔を近づける。ボーットしながら答えた。
「信頼?凶暴な女の子に渡すと、俺の苦労ぶち壊しだしな。大人しくひっこんどいて。」
(お、弟のほうが……可愛げあるなぁ……。)