ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕らの彗星 ( No.12 )
日時: 2011/03/04 18:16
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

「ねえ、ちょっと部屋みたいじゃない?あそこ。」

トゥルースはある岩の小屋を指差した。窓のようなものが取り付けられており、ちゃんと扉もある。その小屋から向こうは行き止まりだった。おそらくここがアジトだろう。

「いくぞ、トゥルース。じいさんもいるはずだ。」

「うん!」

二人は様子を窺って、窓を覗き込んだ。箱が何個も詰まれており、大きな机と椅子がある。そこには何人もの男たちが酒を交わしていた。随分酔ってるらしく、あの大量の男たちを蹴散らしたことを知らないのか油断している。クロノはフォーコに窓を突き破り、男たちを惑わすように指示する。コクリと頷いて、窓を破り部屋中を飛びまわる。男たちはあわあわとしこけたりしている。

「よし、トゥルース。魔法か知らんが使え。」

「分かった!」

トゥルースは窓から入ってきて、手を前に突き出す。魔力が集まり、熱く燃え上がる。




『火炎玉(ファイヤー)!』



火の玉は男たちにつき、燃え始める。だんだん燃え移っていき、最終的には全員焼死する。フォーコはクロノの元へ戻っていく。

「よし、やったな。先へ進むぞ。」

二人は狭い通路を歩き、ドアノブにてをかける。すると向こうから話し声が聞こえる。ガラガラ声でガサツそうな男の声と老人の声。トゥルースはハッとする。

「おじいちゃん!おじいちゃんだよ!」

「じいさん?えらく落ち着いてるみたいだけど・・・。とにかく、入るぞ。」

だが、鍵がかかっている。クロノは舌打ちをする。トゥルースは「大丈夫!まかせて。」とドアの前に立った。





『氷河(グレイシア)!』



大きな氷の塊がドアを突き破り、ドアの向こうには驚いた大男がこちらを見つめている。その横に老人が体をロープで縛り付けられていた。トゥルースは「おじいちゃん!」と駆け寄ろうとしたが、横から長い剣を持った細身の男が出てくる。

「うっ・・・。」

「フンッ。餓鬼が!」

細い腕で、トゥルースを跳ね飛ばす。クロノはその男を睨みつけ、トゥルースに駆け寄る。

「大丈夫か?」

「うん、平気だけど・・・。」

細身の男は剣を振り回しながらこちらへと近づいてくる。その奥にいる大男は大笑いした。

「フッハッハッハ!!そう簡単に助けさせるか!このじじいは古代の大魔法使いの本のありかを知っているんだ--------------

「親分。この餓鬼が持ってます!」

「何ぃ?!」

大男はトゥルースを睨みつけたあと、手に持つ大きな本を見て不敵な笑みを浮かべた。

「よし、力ずくでも盗れ!殺してでもいいぞ!!」

老人はドキリと体を動かす。孫の命が危ない。体を大きく揺すって縄を解こうとするが強く縛り付けられているため細く衰えた体じゃ解けなかった。それを見ていた大男は大笑いして、老人の首元に大きな斧をつきつけた。

「じじい、もう用はねえよ。あっち(あの世)でごゆっくりな。ご苦労さん・・・!!」

大男は大きな斧を振り上げて、細い首を跳ね飛ばそうとしたその時、トゥルースが走ってきて足にしがみついた。

「おじいちゃんは・・・絶対に死なせないぞ!!」

トゥルースは老人に向け、人差し指を向ける。すると、小さな風が発生しそれは刃物のように鋭くなる。




『鋭風(ウィング)!』



風は縄を一瞬にして切り裂き、老人は自由になる。大男は顔を真っ赤にしトゥルースを蹴り飛ばす。トゥルースは壁にたたきつけられ、痛そうな顔をする。老人はトゥルースを見て、大男を睨みつけた。

「ワシの孫に・・・なんてことを!!許さんぞ、覚悟するんじゃ!」

「じじいが何できるっていうんだ。こいよ、今度こそあの世に送ってやる!!」

「ホッホッホ。じじいをなめてると・・・痛い目合うぞ!」

老人の手から、真っ赤な炎が大男を包み込んだ。悲鳴をあげ、蹲る大男を笑いながら見届けている。男はしばらくのあいだもがいていたがとうとう動かなくなった。そして老人はトゥルースの方を微笑みながら近づいていく。

「大丈夫じゃ、痛かったろう。あとは、あの者を待つだけじゃな。」

老人はクロノのほうを向いた。クロノは残りの細身の男と戦っていた。