ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【参照400突破!返信100達成!!】 ( No.133 )
- 日時: 2011/04/09 13:26
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 上を向いて歩こう 涙がこぼれないように
屋敷の一室。女性はニヤニヤしながらベットに寝転ぶ。奇妙な子供サングエから図書館でのことを聞いてからずっとこうである。嬉しいような笑み。
「やっと分かったわ……。モヤモヤがスッキリした気分。」
コンコンッ
ノックする音がして、ベットから起き上がる。入ってきたのは、脱色した髪の毛の女性だった。
「あらっ。どうしたの?」
「ユインさん。サングエから聞きましたよ!分かったんですって!?」
「えぇ。分かったわ。三体目の魔女の封印解除方法……。」
Episode8「三体目の魔女/三つの道具」
「まず一つは『聖女の血』って分かってましたよね!」
「えぇ。それともう三つあるのよねー。」
「み……三つ……。」
脱色の女性は顔を引きつらせる。三つ集めるのが面倒くさいのか大変なのか。ユインはクスリと笑って慰める。
「大丈夫よ。貴女だけでもできるわ。」
「そうですかね……?」
「えぇ。神目(しんもく)があるじゃない!」
「あら!!忘れてたー!そうですよねー!ちょちょっとすれば!」
二人は笑いあって、ハイタッチ。これが悪者なのか外見からは想像できない。
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一方、古い神殿。神殿の中は強大な力で覆われて、普通の者は入れないがこの二人は例外だった。
「はぁー!!いつまで言いなりになるわけ?!」
黒いドレスを着る魔女、パウラは大きな声を出して苛立つ。その横で十二単の魔女はため息をついて先先行く。ほったらかしにされたパウラは焦りながら着いていく。
一番奥には、人間と思われしき女性が銅像として彫刻されている。二人はそれを見上げる。
「もう少しよ!さっさと起きなさい!」
「我慢してください、パウラ。あいつらに封印を解かれたって彼女はあっちには動きませんよ。こちらで破壊の宴を楽しむはずです。」
「そうよね!さぁーて。気晴らしに壊してくるか!!」
「前準備……というわけですね。」
「パッサートが蘇ったら……神の世(コスモス)だって普通にぶち壊しよねー。」
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また一方、クロノとジャスティスはアリスたちがいる宿へと帰っているところだった。だが人ごみに紛れてしまって、少し迷子なのである。ぶつかりにぶつかって来たところと全く別のところへ来てしまっていた。
「おいっ……合ってるのか?ここで!」
ジャスティスはぶつかりながらクロノの顔を覗き込んだ。だが、顔はそっぽを向きまるで「全く知りませんよ」と表情で出しているよう。それを見たジャスティスは顔面蒼白。ここじゃないと初めて思った。今まで道が違えど、ここだここだと信じてきたのに……。
「だって面倒くさいんだ……。いいだろ。」
「じ、自由人にもほどがある!!とにかく、ここじゃないんだったら本格的の迷子じゃないか!!」
「迷子に本格的ってあるのか?」
一瞬沈黙になったが、ジャスティスはそんな薄寒い空気を掃うようにして人ごみを掻き分け歩いていく。クロノはコクコクと頷き「恥ずかしくなったのか」と呟いた。
再び、ジャスティスと横一列に並んで宿を探す。宿をみつけるため、周りを見渡しながら歩いていると横にいたクロノがすっと消えたのだ。ジャスティスは「え?」と一瞬困惑し、恐る恐る下を向くと……
マンホール(フタなし)だった。そこに落ちてしまったようで、暗くクロノを確認することは出来なかった。助けようにも助けられず、見捨てようも見捨てられない。困ったなと腕組みをしながらマンホールを覗き込む。
一方ジャスティスの後ではヤクザのような男二人が喧嘩をしていた。殴り合いけりあい押し合い……。周りの人々はもっとやれとばかりに騒いでいる。マンホールの前にたった一人だけいるジャスティスは周りからすれば非常に目立つのだ。ヤクザにもチラチラと目に入って、気になる。
とうとうヤクザ一人の堪忍袋の緒が切れた。ジャスティスに向かってずんずんと歩いていく。ジャスティスは「ん〜」と唸ってヤクザには全く気づかない。そして……
「おい!てめぇ、邪魔なんだよ!!」
「んっ……?」
ドスッ
マンホールからまっ逆さま。しばらくして地上からポチャンッと音がしたという。