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Re: 僕らの彗星 【参照400突破!返信100達成!!】 ( No.148 )
日時: 2011/04/20 20:49
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: 巡音ルカは雰囲気的にライトニングに似てると思わないか?

肩を震わせて、しゃがみ込む。パーチェは気分が悪くなったのかと思い、村のボロベンチに座らせ、背中を摩った。だが、スプリングは手を振っていかにも元気そうな表情を顔に出す。

「平気ですよっ。さっ、先を急ぎましょうか。」

ベンチから立って、足早にそこを去ろうとする。だが、パーチェは腕を掴んで首を横に振る。スプリングはその手を引き離そうとしたが、出来なかった。そのままじっとパーチェの悲しそうな顔を見つめる。

「分かってるよ?嫌なことがあるんでしょう?」

その言葉は優しさの塊に思えた。のだが、半分自分にとってグサッと何かが突き刺さるような感じがした。胸をさすって、下を俯く。パーチェにもその悲しさは十分伝わった。いつも明るくてはちゃめちゃな彼女がこのような弱った顔を見るのは初めてである。



「話してごらん?私が全部、ぜーんぶ受け止めるから。」


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一方、ロッタはやしの林を駆け抜けていた。ロッタは上機嫌である。なぜかというと、ここは壮大な大海原が広がる孤島だからだ。彼女の考えはこのようなものである。

透明ではなく、青い海=泳げる=泳げば凄い爽快感

まるで子供の考え。そんな大海原を見たから上機嫌なのだ。もちろん、今時の子供だって綺麗な海を見れば興奮するだろうが、それはせめて15歳まで。彼女はもう二十歳近いのだ。

やしの木の林を抜け、彼女の目に映るのは、絵の具で塗ったような真っ白い砂と空のように鮮やかな浅葱色。その奥には小さな無人島が浮かんでいる。ロッタは何故か深呼吸したくなり、すぅーっと一息。その後、広い浜辺を全速力で走る。しばらく走って、後を振り向けば足跡が水について消えていく。

「わぁー!最高ッ!!」

さらに走り出す。大声を放ちながら、太陽のような格闘少女は今、太陽より輝いている。大笑いしながらまっすぐ走っていると、柔らかい何かに躓き、柔らかい砂にズザーッと転ぶ。

「ん〜。とっても気持ちいいー。って、痛ッ!!」

服に付く砂を掃って、自分が扱けたであろう場所に目を向けた。するとそこには白いマントを着、フードを深く被った女性らしき人物が倒れていた。それを見てロッタは見ないふりをし、何処かへと去っていく。

(……いや、それは流石にだめっしょ。助けないと!)

また女性に駆け寄って、抱きかかえて、長く丈夫そうな蔓を持ってきて何重にも編みこみ、ハンモックを作る。我ながらいい出来だと、相槌を打ち、見とれる。そして、女性をハンモックへと寝かせた。

ギギッと音はしたが、千切れる様子は全く無い。ロッタは近くにあった石に腰掛、しばらく彼女を監察することにした。