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Re: 僕らの彗星 【参照500突破!感謝感激雨嵐】 ( No.158 )
日時: 2011/04/24 21:24
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: 動画作りたいな。

パーチェは全てを知った。彼女の過去を。だが、悲しまず笑った。スプリングはそんな表情に少し驚いた。

「泣いちゃだめですよ。スプリングさんのその力は、決して悪い力じゃない。その力があれば、困っている人を助けてあげることができる!それに、もしあの魔物を倒していなかったら、他のお友達も村も無くなってしまってたんですよ?」

そんな言葉に、嬉し涙がポロリとこぼれた。そんなこと言われたの初めてだ。そんな励まし-------初めて聞いた。思い出したくなくって、過去から逃げていた彼女に新たな兆しが光った瞬間だった。スプリングの手を柔らかく握って微笑むパーチェ。なんだか和んでくるその微笑みは心の芯から癒してくれるのだ。

「行きましょう!皆さんと合流しなければ!」
「はいっ。」

二人の前に立ちはだかるのは、薄い雲に覆われた谷だった。


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一方、セーテの噴水広場。

噴水の前のベンチに、クロノとミュゼットがジャスティスの帰りを待っていた。もう夕方である。1時間は立っているので、苛立ちというより眠気が襲う。ミュゼットは平気だが、クロノは相当ピンチだった。こくりこくりと今にも前に倒れそうな感じで、ミュゼットもその場を離れられず、約束通りクロノの面倒を見ていた。

とうとう、クロノは眠ってしまう。
寝息を立てて、ガクッと前に倒れた。ミュゼットはため息をつきながらも苦笑いして、自分の膝にクロノの頭を乗せた。

(見た目からして二十歳なのに、まるで子供ね。)




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「うあっ------------?」

真っ白い空間で目を覚ますクロノ。俺は寝てたんだろ?と思いながら首を横に振った。

「はぁー。夢か。面倒くさい。寝よ。」

こてんと冷たい床に頬をこすりつける。だが、あくまでも夢の中。勿論寝付けなかった。

壁にもたれて、ずっと奥を見ていると-----------------
---------------足音がする。
夢の中の登場人物がお出ましかとクロノはだるそうに目を細める。

だが、その登場人物はクロノにとって呆れさせる人物だった。


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「こいつがか---------------」

箒を手に持ち、腕組みをする掃除屋。
ジャスティスはコクリと頷いて、本を閉まった。

「----------お前、旅人かなんかか?俺が見る分--------泥棒だけど?」

「泥棒」という言葉に反応するジャスティス。眉間にしわを寄せて、思いっきり違うと否定した。

「俺は魔女撃退組織の一員----------兼、そいつの付き添いだ。」
「魔女撃退組織?」
「聞かなくてもわかるだろう?名前の通りだ。」
「ま、魔女を倒すのか?」
「あぁ。---------実際のところ、倒せるか分からない。」
「なんせ、3体だからな。」

掃除屋は箒にもたれて、ため息をつく。

「さて。掃除しに行くか。」
「そうか。じゃあな。」

ジャスティスはくるりと後を振り向く。すると、「待て」と呼び止められた。そしてまた前を向きなおす。

「世の中(しゃかい)のゴミを片付けるのも掃除屋の勤めだ。そのゴミ屋敷(魔女)を掃除する。綺麗に、チリ一つ残さずな。」

箒を持ち直して、ジャスティスの後を着いて行く掃除屋。ジャスティスは彼に言った。



「死んでも知らんぞ。」