ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕らの彗星 ( No.16 )
日時: 2011/03/05 20:58
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

トランクイオの村から出て、何時間か経った。空はすっかり薄い水色に覆われて、太陽が山から少し顔を出していた。寝ていないため、トゥルースはよたよたしながら歩いている。

「ク、クロノ〜・・・眠いよ。どこかで休もう。」

クロノは何も言わず、トゥルースを抱え、後に背負った。訳が分からずクロノをじっと見つめている。

「俺は歩く。お前は寝とけ。」

「いいの?クロノは、疲れない?」

「いいよ。俺には夜は来ないから、眠くなんかならないよ・・・絶対。」

意味深な言葉だが、小さなトゥルースは分からなかったのでそのままクロノの温かい背中で夢の中へと落ちていった。何も感じず、何も思わずただ淡々と長い道を歩くクロノ。本当に眠くないようだ。

そして、いつしか、暗い森の近くへと来てしまった。気づけば、太陽の光は木の葉で覆われて真っ暗である。もちろんのこと、こんな不気味な森に何も出ないわけがなく、用心をしながら寒い森を奥へ奥へと歩いていく。

「・・・訳わかんないけど、随分まずいところにきたものだな。」

腰につけているオリハルコンを片手で取り出して、草の道を歩いていく。すると、木の枝から大きな魔物が姿を現した。一歩歩くだけで地響きを起こし、木に止まっていた鳥たちは一斉に空へと飛びだって行く。

「・・・チッ。余計なモンと会っちまった。さっさと出て行かなくっちゃな。」

足早にそこを立ち去り、道なき道を走るが大きな体に似合わずなかなか速くもうすぐ後まで来ていた。そして大きな拳でクロノを殴る。遠くまで飛ばされ木にぶつかった。それで目を覚ましたトゥルースはその状況に飲み込めず、キョロキョロ辺りを見回していると目の前に立つ魔物を前にして腰を抜かしてしまう。

「な、なんだ〜〜〜?!ク、クロノ!なぁに、この魔物は!」

「・・・知らん。俺たちを食いに来たんだろ?逃げるぞ。」

トゥルースを抱きかかえて、暗い森を駆け抜ける。魔物も餌を追いかけ、猛スピードで走ってくる。

「フォーコ!!一発、かましてやれ!!」

フォーコは光速で魔物に鋭い嘴を突き刺し、ドリルのように回転し始めた。早く回れば、回るほどダメージの大きさを物語る。魔物は悲鳴を上げてよろめく。だが、大きな腕でフォーコをなぎ払い、口を大きく開け超音波を発生させる。何かがぶつかったような感じで、遠くへ吹き飛ばされるクロノたち。

気づけば、森に囲まれた大草原に吹き飛ばされていた。クロノは、立ち上がって周りを見渡す。なんとも美しい風景だ。その下で、草に包まれて気を失うトゥルースとフォーコがいた。「しかたないな・・・。」と呟いて自分も寝転がった。

ふと、横を見ると青く光る石が目に付いた。盗賊であるクロノは光るものに目が無いのか、興味津々でその石に近づいた。

その石は、宇宙のように深い青に光る石だった。