ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【参照500突破!感謝感激雨嵐】 ( No.171 )
- 日時: 2011/04/27 22:16
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 足かゆっ
人に会うたび、「リシリアチオって人知ってます?」や「漆黒の使者って知ってます?」などの質問を繰り返し聞いてきたが、どの人も知らないとこたえて去って行ってしまう。アリスはまだ少しいけるが、アダムスはもう眠くて倒れそうだ。
「眠い?」
「うん……へむい(ねむい)……。」
あくび混じりの声で、アリスの質問に答えた。少しため息をついたが、「よしっ」とアダムスを持って背中に背負った。
「あたしが、もう何人か聞くからさー。寝ときなよ。」
「あひはほーはひふ(ありがとーアリス)。」
それほど疲れたのか、直ぐに寝息を立てて夢へと落ちてしまう。その後、8人ほどに聞いたが、やはり皆「知らない」と答えた。もう時間も時間なので近くの街で泊まる事にした。
その宿の店主に聞いてみた。
「リシリアチオって人ご存知ですか?」
「リシリアチオ?あぁー!懐かしいねー。」
「え?知ってるんですかっ!?」
目を輝かせて、アリスはその店主に顔を近づける。店主は苦笑いして「うん」と頷いた。
「この街に住んでたんだよ。とっても元気で正義感強くてね。友達がたくさん居たんだよ。それから大人になってね。魔法使いになるって旅に出かけちゃったままずっと帰ってこないんだよ。」
「そうですか……。ありがとうございます。」
貸して貰った部屋に入って、早速ルオウに連絡する。
『おおっ!?ホンマか!?』
「はい。間違いなく。」
『何処におるんかは分からんか?』
「えぇ。今は。でも、明日リシリアチオの祖父に会いに行きます。」
『そかそか。疲れたやろーなぁ。よう休み。』
電話を切って、布団へもぐる。そしてふと、思ったことがあった。
「クロノたち……どうしてるかな?」
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一方、教会の中。
ひとりの神父が、写真と指輪を見つめていた。
雪で倒れていた一人の白髪の男の懐から出てきた一枚の写真と、紫の指輪。異様な雰囲気を漂わせ、指輪は淡く光る。
「すっごい暖かい写真だよな……。今の時代、こんな写真見ないぞ、え?」
------------------コン、コン
教会の扉を叩く音がした。
写真をおいて、扉をガチャリと開ける。
「こんな夜更けにすまんな、ルイス。」
「おっ、マティーナ!!久しぶりぃ!」
扉の向こうには、マティーナと奇術師のエルメスがいた。ルイスは教会に入れて、色々と話す。
「ってか……ルーナピェーナからよくこんなとこまで来たよな?どうしていきなり?」
「んー……魔女にな、街壊されちゃって。」
「はぁ!?」
ルイスの吃驚する声が、教会内に響く。マティーナは「っせーなぁ」と小声で言った。その後ルイスははっとしたようにマティーナを見つめる。
「んっ?んんんっ!?」
マティーナの腕を掴んで、白髪の男がいる部屋へと連れ込んだ。その後からエルメスがついていく。
「こいつ……お前の知り合いか?そっくりだけどさ?」
「知り合いどころじゃねぇよ。双子の弟なんだからよ。」
「はみょーん!!」
マティーナはじっとノーテを見つめていた。