ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕らの彗星 【参照500突破!感謝感激雨嵐】 ( No.179 )
日時: 2011/04/29 23:17
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: コントラバス……チューバ……コントラバス……チューバ……

一人が血を吐けば、もう一人も血を吐く。武器を交えあうミュレアとクロノ。いきなりクロノが血を吐いたので、ロッタは何がなんだか分からなくなった。
 彼に駆け寄って、大丈夫かと聞いたが、弾かれた。体をプルプル震わせて怒りをためている様な様子であるが……。すると、クロノがいきなり悲鳴を上げた。

「----------持病か?」

ミュレアは何も助けずじっと彼の苦しむ姿を見下ろしている。弾かれたロッタは砂を掃ってクロノの肩をガッシリと掴んで、真剣な眼差しで問う。

「どういうこと!?吐血するわ、喚くわ、漆黒の使者の一人ぃ!?しばらく会わないうちに結構ワルになってるじゃんか!」
「五月蝿い……。女が……生意気な口を聞くな!!」

クロノは頭を抑えながら、手を振って強風を吹かせ、ロッタを弾き飛ばした。飛ばされ、ロッタは悔しそうな表情を浮かべて地に硬い拳を打つ。
 ミュレアはハープを取り出し、ロッドに変える。そしてクロノの前に突き出し魔力を溜め始めた。

「何はともあれ……神物を渡すわけにはいかない。ここで朽ちるまでだ!」

---------------------------

翌日。約束通り、リシリアチオの祖父の家に訪問した。最初は内容が内容だけに出て行ってくれだとか追い出されるかと思えば、優しく迎え入れてくれた。まずは一安心。

「どうも、アーハンさん。」
「いや、すまんのぉ……。うちの孫が色んなところで迷惑しとるようで……昔はあんないい子だったのに……。」
「-------------現状況をお分かりになってるんですね?」
「うむ。夢で見るんじゃ……。いっつもいっつも……孫の夢でな。一つ、また一つと大きなものを取り込んで行っている。」

暗い表情になるアーハンは気晴らしに、一枚の写真を持ってきた。それはとっても楽しい写真だった。

「真ん中がリシリアチオ。そしてこの4人が友達じゃ。この4人が旅をしたと同時に自分も旅をするって出て行ってしまったんじゃよ。」

この写真を見て、どれだけリシリアチオが優しい子か分かる。アリスはどうしてこんな真似を……と悲しくなった。アダムスも後ろから背伸びをして写真を見る。

「何処にいるかとか……分からないですよね?」
「-------------心当たりならあるんじゃよ。」
「こ、心当たり?」

有力な情報に心をときめかせるアリス。

「この街からずっと西に行くんじゃ。すると小さな孤島がある。孤島の森の奥に、古い屋敷があるんじゃよ。そこかもしれんな。」
「どうしてですか?」
「昔、リシリアチオが海でおぼれての。ずっと遭難していて、たどり着いた場所が……その孤島なんじゃ。それからというもの、あいつはその孤島を命の恩人と思ってな。よく遊びにいっとったんじゃよ。」

場所が分かってアリスとアダムスは早速その孤島を目指し、この街の港へと急いだ。