ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【参照600突破!感謝感激雨嵐】 ( No.192 )
- 日時: 2011/05/04 19:58
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: もうちょいでⅩ攻略できそ。=XIII再プレイ開始!
暗殺師(アサシン)の彼にとって友情なんていらないものだった。自分の周りは皆、孤立を好み誰一人仲間と絡もうともせず寂しい空気だけが漂っていたのだった。幼き暗殺師(アサシン)の黒怨も最初はそんな状況に慣れなかったが次第にそんな空気に沈んでいった。
何故彼が、暗殺師(アサシン)の道を選んだか。
それは、そういう家柄だったからだ。先祖代々、黒怨の家は5歳になる前に暗殺師(アサシン)の訓練を受け、7歳までに完璧な暗殺師(アサシン)になるという掟があった。彼の家は、暗殺師(アサシン)のトップである黒殺師の称号を皆持っていた。二人の兄でさえ、両親でさえ、親戚の皆でさえ。
末っ子である黒怨はそんなことどうしてしなければならないと両親に言ったのだが、「そういう掟だから」と入れらされた。もっと明るかった彼なのだが、訓練の厳しさや、さっき紹介したとおり孤立を望むような者ばかりだったので一気に落ち込み、暗い性格へと変化した。
訓練も順調に進み、血筋なのか未暗殺師(アサシン)の中ではトップを誇る成績だった。ある日の夜、爆弾の音が色んなところから聞こえた。目を覚ました黒怨の家族たちは外へ出て、様子を見る。
「に、兄ちゃん……何だよ……何が起こってるんだよ。」
黒怨の兄、白恩は淡く光る山を見つめて舌打ちをした。拳をガタガタと震わせて優しい手で黒怨の頭を撫でてやる。「大丈夫だ……。」と何度も何度も唱えるように宥めた。
当時の黒怨は知らなかったことだが、夜里と黒怨が住む里、朝里は対立していた。過去に植民地が必要とされた朝里が夜里へと進撃。植民地を入手したものの、夜里の民の恨みを買ってしまい、当時にいたる。
「母さん、来るぞ……!」
「えぇ。行きましょう。黒怨……。」
母は、黒怨の肩を優しく掴んで鋭い眼差しで山とは逆のほうを見る。
「なるべく遠く逃げなさい!」
「母さんたちは?俺一人なの?」
「一人でも大丈夫でしょ?だって私たちは……黒殺師じゃない。」
「さぁ!」と言われたと同時に、黒怨の背中は力強く押された。ばねの様な力で飛ばされるんではなく、「行くんだ……」という気持ちから押されたのだ。
母の言うとおり、山とは逆のほうに逃げた。兵士に見つからず、茂みへと隠れる。
夜里は忍者が里をほぼ占め、朝里は暗殺師(アサシン)が里を占めていた。対あるこの二つの里に関して全く無知だった黒怨は何がなんだか分からなくなる。自分は暗殺師(アサシン)だとしか認識してなかったからだ。
ガサッと草を踏む音が、黒怨の耳に届く。誰かが来たと思った黒怨は茂みからそっと抜け出して、逃げるが……
間違えて、誰かと遭遇してしまった------------