ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【参照600突破!感謝感激雨嵐】 ( No.196 )
- 日時: 2011/05/05 21:50
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 明日学校やし。部活あるし。最悪やし。休みボケ抜けへんし。
「殺すのか……俺を。」
赤紫の髪の毛を揺らしながら、一歩ずつ後へと退く。出会ったのは自分と同じぐらいの子供で、白髪だった。細い目でクスリと笑う。
「殺すて。俺、お父ちゃんに逮捕されるわー。あんた、朝里に人?」
コクリと頷く黒怨。白髪の男の子は「そっかぁー」と言って、切り株に座った。
「俺夜里の忍者の卵!そら、戸惑うやろうな。敵やし。」
隙をついて逃げ出そうと試みたが、なんとなくここにいてもいいような感じが彼を止めた。この忍者は人を殺すような人間ではないと勝手に認識してしまった。
「あんたなんていうん?俺は、ノーテ・ステッレ!」
「黒怨だ。」
下を俯きながら、ボソリと名乗った。何とか聞き取ってもらったようで、「へぇー」とコクコク頷いた。すると、強風が彼らを襲う!軽い子供は飛ばされそうだが、何とか木につかまる。
「なんや!?」
「……魔物に決まってる!こんな夜更けだし、俺たち子供だぞ!相手にとっちゃ大好物じゃないのか!!」
案の定、鳥の魔物ズーが姿を現す。ガチガチと鋭い嘴を鳴らしながら、足でノーテを捕まえた。青い目玉をギョロギョロと光らせ、連れ去っていこうとする。その時!風がやんだ!
「待て、化け物……!殺術『縛痺(ばくひ)』!!」
飛び立とうとするズーが動きを止めた!というより、動けないでいる。体中痺れて、掴まれるノーテが離された!急いで黒怨の元へ駆けて、「あーとな!」と御礼をした。
「あんた、なかなか腕あるやん?でも、俺かて負けてられへんで!一発で撃退したるわー!」
手を合わせて、低い体制になる。すると手に電気が走る。だんだん電気が激しくなる。
「行くで!!忍術『電光(でんこう)』!!」
ズーに電気が直撃する。「ぐぎゃぁぁ!」と悲鳴を上げて、ギロリとノーテを睨みつけた。「あ、怒った?」嫌な予感がしたように苦笑いしながら後ずさりする。
そして、ズーが追いかけてきたのだ!
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
標的はどうやらノーテなようで、ノーテだけを追い掛け回している。ポツンと一人になった黒怨。するとある思いがよぎった。
自分は暗殺師(アサシン)。人を殺す職業。人を殺す人間。そんな人間が人を助ける?そんなの掟的に許されないだろう。ならばここで、敵である忍者を見殺しにするか。そうすれば、こっちの勝ちになるかもしれないし、今から人を殺せばこれからもいろんな人を殺せるかもしれない。
だが、今まで掟に縛られ続けた。掟があったから今、こうして生きている。ふと黒怨は朝里を見る。どこもかしこも焼けてて、生きているやつなんていないだろう。家族も死んだだろう。掟と一緒に。
掟から解放されたんだ。じゃあ、もうこんなこと気にしなくていいじゃないか。今こそ、初めての善を尽くそう。
「殺術『物真似・電光(ものまね・でんこう)!』
ノーテと同じ電気がズーへ走った。ズーはとうとう力尽き、倒れる。ノーテはぜぇぜぇと吐息をしながら、黒怨にニヤッと笑った。
「んもう。これ以上、借り作らんといてくれや〜。」
「いや。作るぞ。たくさん返してもらうからな。」