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Re: 僕らの彗星 【参照600突破!感謝感激雨嵐】 ( No.197 )
日時: 2011/05/06 20:28
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: 良いものほど盗りたくなるもんなんですよ。

ズーとの闘争も終わって、朝里へと足を踏み入れた。前の賑やかさは静けさへと変わり、逃げた者もいるであろう。だが、それも数少なくあっけなく追われて死んでしまったのだろう。

焼ける家の前には黒こげの人が倒れているし、血を流して失血死してしまったものもいた。だが、彼はどうとも思わなかった。これが当然の結果だと思ったからだ。

いくら家族であろうとも------------------

向こうには母。そのまた向こうには父。そしてその横に二人の兄。自分の家族があっけなしにやられてしまったことは見なくても分かるだろう。じっとその亡骸を見つめる黒怨をノーテは気遣った。

「あんた……一人なったんか。」
「-----------当然の結果だよ。別にあんたらのせいだとか思ってない。運命が決めたんだよ。」

「待てッ!!」

茂みから夜里の兵士忍者が姿を現す。生き残りであろう黒怨を殺そうとやってきたのだ。

「えぇい、忌々しい暗殺師(アサシン)どもめ。これで終わりだ!」
「待ぃ!!」

ノーテが黒怨の前に立って、刀を降り下げようとする兵士の手を噛んだ。「ぐぎぇー!」となんとも言えない痛みを堪える兵士。その隙に黒怨の腕を掴んで暗闇へと隠れた。

「はぁ。何とかなったな。しっかし、しぶといやっちゃのー。」
「お前らの仲間だろう……?」
「あっ……ホンマや。夜里の忍者皆を敵に回してしもうたな。よっしゃ!遠いとこ逃げよ!!」
「はっ?」
「遠いとこや!ええやん、ええやん!一生に一度の大冒険ってやつや!世界は広いんやし、冒険してナンボ!冒険せな、損損っ。」

とにかく冒険したいことは分かった。黒怨はコクリと頷き、逃げることにした。確かに、世界は広い。どこへ逃げたって果てなんてないだろう。



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自分たちが18になる頃。当時7歳であった彼らもかなり大きくなった。その時、ノーテは口々にこう言っていた。

「いつか、別れなあかん時もあんねや。そん時は泣くなよ。笑っとけ。そしたらまたいつか会えるから。」

別れない日なんてあるわけないだろう。実際そうやって自分も家族と別れたんだ。いつでも分かれる準備は出来ていた。

そんなある日、ゴーストタウンのような廃墟と化した街「アルフェン」。随分前に、紛争で消えてしまった。なんとなくまだ火薬臭く、戦争の激しさを物語っている。一応近くにあったので寄って見ただけであり、きた理由はそんなになかった。

「おいっ、黒怨!凄いわー!ほれ、宝石ー!」
「売ったらどうなるとかそんなこと考えてるんだろ?」
「--------------さすがやなー。」

黒怨は宝石を手にとって、じっと眺める。かつては自分もこんなに輝いていたんだろうな。なんてことを思っていた。

その時!
炎が、建物を取り囲んだ!

だんだん熱くなっていく室内。
ノーテが壁を突き破って、外を出てみる。
するとそこには----------------


忍者警察が自分たちを待っていたかのように、刀と銃を構えていた。