ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【参照600突破!感謝感激雨嵐】 ( No.198 )
- 日時: 2011/05/06 21:16
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 良いものほど盗りたくなるもんなんですよ。
「ひ……久しぶりやな、お前ら。なんや……俺を殺しにきたんか。ええよ!どっからでも来ぃ。」
ニッコリ笑って、死なんて怖くないなんてところを見せ付けている。すると一人の巡査が首を横に振った。「違います、ノーテさん。その後の男です!」と大声で叫んだ。ノーテは恐る恐る後ろを向く。
赤紫の男が見えない瞳に映った--------------
「お前ら……こいつ殺すん?」
「えぇ!生きていては困る存在!」
「あかん、あかん!俺が許さんわ。なっ、黒怨〜?」
また笑顔で言った。
黒怨は十分怖かった。死が刻一刻と自分の肩を掴もうとする。のにもかかわらず……何故ずっと笑っていられるのだと。
「ノーテ……お前はどうして--------------
「撃て!!」
弾丸が黒怨の体を貫通した。血が絶え間なく出てくる。脚がもつれて、クラクラし、意識が朦朧とする。飛び散った血は、ノーテの肌についた。緑色の瞳にノーテを映して、冷たい地面へ倒れた。
「死んだか?」
「生きていればそのまま撃ち殺せ!!」
「待て!!!」
警察たちの後ろを掻き分けて、前へと出る一人の刑事。ノーテはその刑事を見て青い瞳を見せる。
「お父ちゃん……!これ、提案したの……。」
「違うっちゃー違うんやけど、そうっちゃーそうやねん。あ、それよりお前ら!殺すな言うた筈や!捕まえて持って行け言うたやろ!!」
「しかし、ルオウさん!!こいつは、我らの敵、暗殺師(アサシン)ですよ!!」
「えぇから!!」
そんな口論の隙をついて、ノーテは黒怨の元へと駆け寄った。ニッコリではないが笑みを浮かべて、
「よかったな、生きてたで。生きてるだけ、まだ……ええやん。」
黒怨はその言葉を聞いて安心したのか、気絶してしまったらしい。
そして次に、目を覚ました時には冷たい冷たい牢獄だった。一瞬何故こんなところに?と思ったが、直ぐに意味を飲み込めた。
「そうだ……俺は、凶悪犯みたいなもんだ。こんなところに閉じ込められるのも------------当然だな。」
何故か眠くなったので薄いシーツの上で、瞳を閉じた。3分も経たず、眠りに着いた。
真っ暗闇の中、自分を呼ぶ声がした。ノーテでもないし、警察でもない。とっても闇に染まった男。姿は現さず、声だけで黒怨に話しかけた。
『どうだ、憎いだろう。友に見捨てられたのだぞ。』
「見捨てられた?それは何かの間違いだろ……。」
『いや。見捨てられたのだ。いいか、今までの冒険とやらはただの作戦にすぎん。全て長年の苦労の末にお前をここに閉じ込めるための罠だ。敵である忍者ならそういうことを考えなくもないだろう。もう愛など考えるな。考えれば考えるほど深くなっていき、裏切られた後の傷はなかなか癒えん。いっそ、愛を破壊しつくせ。哀しみの暗殺師よ。』
声は『哀れな人間』と言いたいんだろう。そうだろうさ。人を信じたからこうなったのだと。最初から信用せず、見殺しにすればよかったと思った。だが、何故かノーテのことを恨めなかった。ノーテを恨まず、愛という名を消すべく、黒怨は声に向かって言い放った。
「愛を消すならば、お前を信じればいいんだな……?」
『さよう。』
翌日、牢屋には黒怨の姿はなかったという。