ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕らの彗星 ( No.20 )
日時: 2011/03/06 21:34
名前: 月夜の救世主 (ID: rs/hD2VF)

「ま、魔法石・・・!?」

「なんで、んなもん・・・コイツ持っとるんや!」

クロノは魔法石と呼ばれた青い石を不思議そうに見つめる。記憶喪失でしょうがないと思ったが、なんとなくトゥルースは思った。

元々知らないんじゃないのか----------

気のせいかなとそこは一旦置いておいた。とにかく、魔法石なら仕方が無い。それは神によって与えられた一つの試練なのだから・・・。

「・・・とにかく、この石・・・高く売れそうだな。売ってこよう。」

「おいおいおいおィィィィィ!!!高価どころちゃうわ、ボケ!!店も金出せへんぞ。」

クロノは不機嫌そうに、石をポケットにしまった。ジャスティスは手をあごに当てうーむと唸っている。魔法石は時々暴走し、もの凄い魔力を発する時があるため危険とされている。魔法管理委員会に預けるか・・・どこか誰にも見つからないところで保管するか。

だが、ジャスティスはどちらも駄目だとなんとなく思ってしまった。嫌な予感がして、胸がズキズキ痛む。危険かもしれないが、クロノに持たせたほうがいいと考えた。

「・・・お前。その石を持っておけ。」

「えっ?ジャス、どういうことや?」

「・・・え、いや・・・理由はないけど・・・危険かもしれないけど・・・持っておけ!」

ジャスティスはクロノに怒鳴り散らした。少し吃驚したが、コクリと頷くクロノ。ノーテはいつものジャスティスじゃないと思った。これは何かあるかもしれないと・・・。










時間が経ち、クロノは一人で花の里の北部にあるフル湖へ立ち寄った。それを静かについてきていた男がいた。ランドである。いつもぶっきら棒な行動をとる彼だが、仲間がこんな風に陥ると心配で見ていられなくなる。

クロノはじっと水面に映る自分の顔を見て、大きくため息をついた。そのあと、やわらかい草むらに寝転がる。

「なんだ・・・?疲れたのか、クロノ。」

「・・・誰だ?」

その言葉に、刃物のようなものが心に突き刺さる。いざとこういう風に言われると・・・苦しくてたまらない。だが、笑って誤魔化してクロノの横に座る。

「・・・やっぱ思い出せないか?」

「あぁ。」

「・・・そうか。思い出せないのか・・・。」

ランドは下を向いて、喋らなくなった。クロノは妙だなと思って、顔を覗き込んだ。すると、水の粒がポロリと草むらに落ちるところが見えた。

「泣いてるのか・・・お前。」

「えっ・・・あぁ・・・ふざけんじゃねぇよ。あくびだ、あくび!!」

目をこすり、後ろを向いて深呼吸しているランドを見てクロノはなんか懐かしいものを感じた。湖を見ながら、ランドに言った。

「その行動・・・凄い、見たことある。記憶の片隅に残る・・・お前みたいな奴がそんなことしてる。」

「バーカ。お前みたいな奴じゃない・・・お前だ!」










「そうか・・・お前だな、ランド・・・----------」