ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【参照600突破!感謝感激雨嵐】 ( No.202 )
- 日時: 2011/05/06 23:21
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 良いものほど盗りたくなるもんなんですよ。
黒怨がだんだん透明になって消えていく。ノーテは笑うことすら忘れて肩をギュッと握る。何故か消え行く黒怨だが、次は彼が笑っていた。
「なんで消えるんや!!助けてくれたんやったら、最後までおれや!!」
「------------俺たちのボスが怒ってな……俺に罰を下したみたいだ……。哀しみと一緒に消えてやるさ……。」
神様、仏様……こいつ消したいのかなんやら知らんけど……あと少しだけおらしたって!!お願いやから……。
心の中でそう叫んだ。
叫んだって無意味なのだが……これが最後だと思うと余計叫びたくなる。
「ノーテ……これから……この世は終焉を迎える。」
「へっ……?」
「漆黒の使者……首領リシリアチオは、この世と神の世(コスモス)を飲み込もうとしている……。他の魔女二人は食われた……。残るは、最強の魔女「パッサート」だけだ……。そいつが蘇っては……色々と面倒だからな……。」
「分かった!やから、もう喋るな……!」
「行け……!俺なんかに構うな……運命が壊れるぞ。」
「運命……?」
運命に関わりある一人の男が浮かび上がる。
「運命と運命がぶつかれば……この世は破壊の運命へ動く……!神物無くとも……パッサートが蘇り、いいことナシだ!!早く行け!!」
「-------------しゃあないなぁ!行ったるわ!俺が、この世の救世主になるまで生きとけよ。」
「断る----------というより……無理かもな。」
ノーテが黒怨へ手を伸ばす。手と手が繋がり、最後の友情となった。「行け」と言う言葉に悪い意味なし。ノーテがついさっき自分で作ったことわざだ。
「黒怨がくれた贈り物で、行ってくるわ!救世主ノーテ・ステッレ様がな!」
「五月蝿い。早く行って来いよ。」
マティーナが蹴って、ノーテを外へ追い出した。ズモッと雪に埋もれて這い上がる。「酷ッ」とぶつぶつ言いながら、石を握る。
「知ってるんやで、俺。随分前から勝手に使ってるんや。ほな、行くで!!」
黄色い宝石、トパーズを握り締めた。
「疾走の風!『フェンリル』!!」
黄色い魔法石には珍しい攻撃系の神である、青い狼の神獣フェンリル。かなり大きく、5mはあるだろう。ノーテはフェンリルの背中によじ登って、命じた。
「運命の……勇者んとこ行ける?」
『可能だ……。』
「あ、ホンマ〜。(わざと難しく言ったのに……。)」
白い雪を踏み、山へ山へと飛び越える。風のように海渡る。黒怨に言われた最後の約束。
「この世を守れ」
って言いたかったのだろう。
「ホンマ、不器用なやっちゃのー。」
Episode9「忍者と暗殺師/幼き記憶」END