ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕らの彗星 【参照600突破!感謝感激雨嵐】 ( No.204 )
日時: 2011/05/07 13:54
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: 良いものほど盗りたくなるもんなんですよ。

ある大きな城には、優しい王女と娘がいたそうだ。
魔導師なりたてホヤホヤのストラノはそんな城で家来として働きたかった。最近の魔導師は魔法を悪用して、悪事を働いているらしい。が、彼はそんな風にはなりたくなかった。この特別な力を人助けに使いたいのだ。

そんなある日、同級生のアルベイに呼び出された。アルベイは気前が良く、なかなかいい奴だと思っていた。のだが-------------

「ストラノ……。お前、俺と一緒にいい暮らししたくないか?」
「いい暮らしぃ?世の中そんな暮らしなんてあるのかいっ?」
「あるんだよ。知ってるだろ?創造神が眠る魔法石ってやつ!アディット博物館に寄贈してたんだ〜!俺たちの力で……な!」

奪おうなんて言うんだろう。途中から読み込めた。だが、当然ストラノはそんな性格ではないので、誘いには断った。すると、アルベイは血相を変えて不吉な笑みを浮かべて「そうかい」と言った。

「じゃあいいよ。もう。俺に従わない奴は全員屑だぁぁぁぁっ!!!」

喫茶店内に怒りに満ちた声が響く。稲妻が一人一人に落ち、ビリビリと音を立てながら人々は蹴散らされていく。ストラノはそんな情景に耐えられなくなった。魔力を放出し、その景色を拒絶した。








自分の悲鳴と人の悲鳴が響く中、汗びっしょりになったストラノが飛び起きた。本来ならボロボロの喫茶店に倒れているはずが、豪華なベットに寝転がっていた。隠せない驚きに、起き上がろうにも起き上がれない。そんな時、扉がガチャリと開いた。コップに注いだお茶を持った女の人が入ってくる。

「お気づきになられましたか?」
「-------------あ、貴女は……ステイシャインズの王女グリド様!」

ニッコリと穏やかな笑みを浮かべてコクリと頷いた。王女と分かったなら人様のベットに寝てられない。急いで降りようとするが、頭がクラッとし、重くて痛い。

「無理をしないで。貴方は、魔力を放出しすぎて一時的に弱まっているんです。寝て、お休みなさい。はい、お茶ですよ。魔力を回復を早める効果がありますから、もう少しですよ。」

グリドは一礼し、部屋から出て行った。お茶を一口飲んで、はぁとため息をつきながらベットに寝転がる。人はいつも本性を隠し、騙す。自分はアルベイを信じたばっかりに……と思っていると。

また扉がガチャリと開く。
そこから小さな少女が顔を出す。4歳と思われる。ストラノは頭を深々と下げて挨拶する。

「す、すみません……!勝手にベットを……。」
「いいよ、大丈夫だよ。ゆっくり休んでね。ちょっと心配になっちゃったから……。」

黒髪を揺らす少女……当時4歳であったパーチェだった。