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Re: 僕らの彗星 【参照600突破!感謝感激雨嵐】 ( No.205 )
日時: 2011/05/07 14:17
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
参照: 良いものほど盗りたくなるもんなんですよ。

パーチェが手に持つ白い花がチラリと見えた。ストラノは優しく微笑んで「綺麗ですね」と話しかけた。すると、パーチェはストラノが優しい人だと思ったのか、「でしょっ?」と答えてくれた。

グリドが階段を上って、ストラノの様子を見に行こうと、部屋に入った。すると、ストラノと楽しく遊ぶパーチェの姿があった。グリドは「こら!パーチェ、お客様はお怪我なさってるのよ!」と注意した。すると、悲しそうな顔をして渋々ベットから降りた。

「申し訳ありません。パーチェったら……知らないお客さんに舞い上がっちゃったのかしら。」
「いえ。気にしてませんよ。」
「ねぇ、お母様〜!この人とっても面白いよ!魔法が使えるんだってっ。」

パーチェがグリドのドレスを引っ張ってストラノを指差す。「あら……」とグリドは苦笑いしながらパーチェをドアの方へ導く。「いやぁっ」とドアの方へ中々行かない。グリドは怒鳴ろうとしたが、「待って」とストラノの声で止まった。

「ワタシはもう平気ですよ。すみません、お茶まで頂いて。」

ベットから降りて、グリドとパーチェに一礼して、部屋を出て行こうとドアノブに手をかけた。すると次はグリドが「待ってください」と止めた。ストラノは後ろを振り向いて、「なんです?」と聞いた。

「パーチェ、貴方のこと相当気に入っちゃったみたいですの。パーチェのお世話役……大変で辞めちゃって。ずっとパーチェ暇でよく泣くんです。ご用があったら無理なさらなくていいんですが、パーチェのお世話役お願いしていいかしら?」

来た。
ストラノがずっと望んでいた役職。
まさかこうしてめぐり合えるなんて思ってみなかった。

「喜んで!」

即答した。


それからストラノは、城に住み込みで働くことに。ある日、ストラノはグリドに聞いた。何故、王女が直々にこんな落ちぶれ魔導師を助けたのか。そして……自分はアルベイを殺してしまったのか。

「グリド様……。どうしてこのワタシをお助けになられたのですか。」
「……丁度その喫茶店にうちのパーチェがいたんです。迷子になっちゃって。そんな時、貴方の友人が人々を無差別に殺めていく中、自分の命より、人の命を気遣って色んな人々を助けてくれました。稲妻がパーチェへ向けて飛んできたとき、貴方が庇ってくれたんですよ。」
「は、はぁ……すみません、覚えてないです。」

急なことだったので必死になって、そんなこと忘れてしまった。グリドはクスリと笑って「そうですか」と言った。

「アルベイは……?」
「残念ながら。ご友人の暴走で……。」

そんな暗い空気を掃ってくれたのは、パーチェだった。明るい笑顔を振りまき、ストラノの服を引っ張って「あーそぼっ」と言ってきた。ストラノは「はい、喜んで」と言いながらグリドにお辞儀する。

「ストラノさん……とってもいい人ね。うちの人も生きていれば……パーチェも寂しくなかったろうに。」

グリドも王間へと帰って行った。