ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【返信200突破!感謝感激雨あられでもいいわ!】 ( No.206 )
- 日時: 2011/05/07 14:50
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 良いものほど盗りたくなるもんなんですよ。
「ストラノさんー。」
「あぁ、パーチェ様。」
パーチェが大きくなり、14歳になった。我儘なパーチェにもめげずずっとついていた。むしろ喜んでついていただろう。パーチェは小さな黒猫を拾ってきた。羽根が生えているので、魔物だろう。ストラノはうーむと唸る。
「害がある魔物であればどうしましょう?」
「そ、そうですよねっ。でも……この子怪我をしているんです。」
「------------ホ、ホントですね。ここは一つ、グリドさまに見つからず介護しましょうか。」
「でも、ストラノさん怒られない?」
「……怒られ……ますね〜。」
黄色い目をパチパチさせながら黒猫はストラノに睨みを利かせる。「治せって言ってるのかなぁ?」苦笑いしながら黒猫を抱きかかえる。ポケットから包帯を出す。
その包帯を黒猫に巻いて、何とか応急処置は完了。ストラノは「名前決めてらっしゃるんですか」と聞くとパーチェは大きくコクリと頷いた。
「ピピステーロ!とってもかわいい名前でしょう?」
「はい、とっても!」
ピピステーロと名づけられた猫は、嫌そうな顔をしてすたすたと何処かへ行ってしまう。が、パーチェは猫を持ち上げて「ダメでしょう?」と注意した。さすがに猫もやめた。
ストラノは時計を取り出して、パーチェに言う。
「勉強の時間ですよ。」
「あら、もうそんな時間ですか。では、書斎に行きましょうか。」
書斎の椅子に座って、紙とペンを取り出してパーチェに差し出す。だが、嫌そうな顔一つせず淡々と書いていく。本を捲りながら、パーチェに教えるストラノ。ちょっとした合間にパーチェに聞いてみた。
「パーチェ様、お勉強はさぞ嫌でしょう?ですが、どうしてそんなに笑顔を絶やさぬのです?」
「ストラノさんとするととっても楽しいんです。嫌って感じがしないんですよ。むしろ楽しいぐらいです。」
それを聞いて安心した。
もしかすれば、無理にやっているのかもしれないとか心配だったが。
勉強も無事終了し、食卓へと向かう。
「今日はクリームシチューでございます。」
召使がパーチェに暖かいシチューを差し出す。「ありがとうございます」と言いながら受け取る。
「それでは、お嬢様……ごゆっくりご堪能くださいませ。」
「あ、はい。それでは、おやすみなさい。」
ストラノは自分の部屋に戻って、ベットに寝転がる。とっくに夕飯を食べたので家来は早めに寝る。疲れてしまったので、直ぐに寝息を立てた。
ストラノの夢にある人物が侵入する。
誰なのかわからないが、声だけ響くのだ。
『忘れたと思うな、罪人……。』
「-------何者ですか……!」
『名乗る必要なし。貴様……また人を殺めたのか。』
「また」
その言葉にストラノの頭がだんだん白くなる。
『まだ貴様が魔導学院の生徒である時----------怒りに任せて一人殺めたろう?』
「……知らない、覚えていない!」
『白を切るか。哀しき魔導師よ。記憶に収めし、忌々しい過去。それを消すべく……更に人を殺めよ。』
「どういうことですか……!」
『哀しき過去が詰まれば……哀しいことなど思わなくなるだろう?背負いきれなくなるまで……悲しみ続けるがいい。』
過去にストラノは人を一人殺した。アルベイではなく、もう一人。アルベイの弟だ。だが、それを言うのが怖くてアルベイに「事故で死んだ」と嘘をついたのだ。ストラノの彼女であるベールを殺したのがアルベイの弟だった。その真実を知った彼は、訳が分からず……。
『嘘と過ち……。永遠に流せ……。自らさえも『仮面』を被ってな……。』
目を覚ませば、彼の顔には『過ちの仮面』がついていた。壊してやろうと踏んで割ったが……くっつきあい、また再生する。過ちのまま嘘と共に哀しき過去を流すべく、城から脱走した。
朝日に照らされる白い花は、パーチェのベットにおいてあった。