ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 【返信200突破!感謝感激雨あられでもいいわ!】 ( No.207 )
- 日時: 2011/05/07 15:19
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: 良いものほど盗りたくなるもんなんですよ。
「ワタシは--------許されない過ちを2回起こしたんです……自らを拒絶し仮面を被り……狂乱の魔導師に生まれ変わり……哀しき過去を消すべく……!」
「もう、聞きたくありませんッ!!目を覚ましてください……。」
パーチェが暗い空気を振り切る。
すると、飛空挺の影から水色のドレスを揺らしながら「甘いわね」と言いながら出てくる一人の王女が顔を出す。
「お母様---------!」
「ストラノ……、早くお殺りなさい。」
ストラノは王女グリドを弱弱しい目で見つめる。手を伸ばし、魔力を溜める。パーチェは少し汗をたらし、ゴクリと唾を飲み込む。が、魔力はだんだん小さくなっていき、消えた。グリドは「はぁ?」と言って、ストラノの胸倉を掴み上げた。
「早く!!私の言うことが聞けないっていうのかしら!?」
「出来ません……!」
ピシッと睨みを利かせ、グリドを払う。「はぁ」とため息をついて、ストラノを弾き返した。もの凄い力で、飛ばされてしまう。が、なんとか甲板にある出っ張りに掴まって、落ちずにすんだ。だが、一つでも間違えば、落ちてしまう。ギュッと取っ手を握って踏ん張る。
すると、グリドの声が聞こえた。
「ストラノ……!よく見てなさい……。王女の最期ってやつを!!」
「くっ……パーチェ様ぁぁぁ!!!」
パーチェは一歩一歩後へ退く。が、グリドの威圧感が足を止め、動けなくする。グリドの手に、魔力の刃が現れる。それも、大量。どんどん増殖していく中、逃げられないこの状況に恐怖を覚える。
「消え去りなさい!!忌々しい……む、娘よ……!!」
「させるかぁぁぁぁぁぁああああッ!!!」
刃が飛んでいく瞬間!ストラノが甲板に上って、パーチェの前に立つ!ストラノには大量の刃が刺さる。一瞬何が起こったか分からなくなるパーチェ。やっと状況が飲み込め、「そ、そんな……!」とショックで立ち上がれなくなる。驚愕するグリドの隙をついて、最後の力を振り絞り、エネルギー砲をグリドに当てた。
「ぐはぁっ……!!」
「ストラノさん……!!」
刃は消え、血だらけのストラノだけ残る。意識が朦朧とし、息をするのもやっと。ストラノの手をギュッと握り、涙をボロボロと流すパーチェ。「お願い……死なないで!」と声を上げて言うが、ストラノは苦笑いして「もう無理ですよ……」と弱弱しく答えた。
「パーチェ様……お次は自分でなさってください……。大きなことを……。この世に迫る終焉を始まりへと変えてください……。全ては……銀河に近い国です……。そこで……そこで……全てが終焉へ向かう歯車が動き出す場所です……ワタシなど構っていると……終焉が直ぐ近くに!」
パーチェは「分かった……分かったから!」と涙を出しまくる。ストラノはパーチェの手をギュッと強く握り、細い声で最期の遺言を託した。
「泣かないで下さい……皆さんがいるのだから……。」
今までギュッと握られた手の力が弱くなった。一気に……。パーチェは声も出さず淡々と泣き続けた。そしてコクリと頷き、「うん。皆がいますもの……」と言って、息をしない母の元へと駆け寄った。
「お母様……。私、行って参ります。世界の終焉を……始まりに!」
窓からその模様を見つめるスプリングとトゥルース。二人は顔を見合わせコクリと頷きあった。
いざ、終焉を始まりへ-------------------!
Episode10「姫と家来/天空の戦い」END