ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 ( No.21 )
- 日時: 2011/03/06 22:05
- 名前: 月夜の救世主 (ID: rs/hD2VF)
「おい、お前・・・なんつった?」
ランドはとっさにクロノのほうを向いた。クロノは何も表情を出さずもう一回ハッキリと棒読みで答えた。
「そうか・・・お前だな、ランド。」
一方、花畑でジャスティスとノーテが座って話をしていた。さっきのことについてである。
「なんや?あの訳分からん・・・言い分は。」
「・・・やな・・・やな予感がする。今にも窒息死しそうな・・・嫌な予感。」
「はぁ?勘鋭いってことか?そんだけで死にそうなるもんかなァ。」
ノーテは頭をポリポリ掻いて、呆れた声を出す。ジャスティスは顔を曇らせじっと考え込んでいる。困ったものだとノーテは立ち上がり、独りにさせておくことにした。
(駄目だ・・・。苦しい・・・!お、俺は一体・・・何を!)
「おおおおおおい!!クロノが!!クロノが!!」
向こうからランドが走ってくる。ノーテは「えっ?!」と声をあげ、ランドの元へと駆け寄っていく。話し声がチロチロ聞こえて、ジャスティスはとっさに立ち上がり、クロノのいる元へと走って行った。
風の如く・・・
クロノの元へと集まった、ノーテとジャスティス。そして後から、トゥルースとフォーコ。クロノはじっと湖を見つめている。
「ちょちょ・・・!ホンマか、クロノ!記憶戻ったいうて・・・。」
「本当かな・・・?俺、元々抜けてるから。」
「だぁぁ!開き直んな!じ、自分の名前は?」
「・・・クロノ・ブライト。」
「・・・おぉ。おっしゃ、おっしゃ。」
ノーテはパチパチと拍手をする。クロノは立ち上がり、その場を立ち去っていく。これで分かるだろう、彼は極度の気まぐれである。ジャスティスはさらに顔を険しくする。ノーテは少し心配になってきた。
「なあ、ジャス。休んだらどうや?なんや、疲れてるみたいやな。今日が初めての旅やけど・・・おとといとかどっか行っとったんか?」
「・・・いや、違う。来る・・・。」
「え?来る?何がや、俺の時代が?」
「バカ!違う!!・・・記憶が戻った・・・。神の試練、第一関門を抜けた。」
「うん。それで?」
「神が・・・動きだす!!」
その一言と同時に、空の雲行きが怪しくなる。雷が鳴り出し、暗い雲の隙間に青い稲妻が見える。トゥルースとフォーコは一緒に蹲って怯えている。ノーテとランドはその一人と一匹を守ろうと囲む。
ジャスティスはクロノを重点的に重視している。すると、クロノのポケットから青く光る、魔法石が見えた。
「呼んでいる・・・、神を・・・!」
クロノは光ることに気づき、ポケットから石を取り出した。空に向けるといっそう、強く光って目が痛くなる。天から放たれた大きな青い稲妻が石を目掛けて落ちてきた。クロノは石を放り投げて、様子を窺った。
石から、何かが出てくる。光の中に見える、巨大な影。角が見え、大きな羽が見えた。
「り、竜・・・?」
クロノはその竜を、じっと見つめる。ノーテたちは驚き、腰を抜かしそうになる。
なんてたってあれは・・・
ジャスティスは呟く。
「神だ・・・----------------」