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Re: 僕らの彗星 【返信200突破!感謝感激雨あられでもいいわ!】 ( No.218 )
日時: 2011/06/05 23:08
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: n/BgqmGu)
参照: やばい、やばい!PCやばいってw

「ぐはっ!」

落ちた途端、また吐血をした。しかも、二人同時に。寿命はだんだん短くなりつつある。これを止めるにはやはり、どちらかが死ななければならないのだ。赤い瞳をギラリと光らせて、本物は「早くしろよ……」と面倒くさそうに言った。

後で、パーテッサを起こすのに手伝うオネスタ。青い髪をなびかせ、心配そうな顔をしている。すると、パーテッサがサッと立ち上がり、訴えるような目で言った。

「どっちも死ぬの-----?死ななきゃいけない決まりなんてあるの?」

胸がキューッと苦しくなる。だが、どちらか死ななければ-------世界は救えない。だって、偽者しか究極奥義を発動できないからだ-----------。
どう足掻こうが勝ち目は無い。究極奥義は、どんな敵も必ず倒せるという最後の力で、これを使うと一年は目を覚まさない昏睡状態に陥るらしい。千年前に発動できたと思われる本物も復活の反動のため、忘れてしまったのかもしれない。偽者は悔しそうに拳を握り締める。

すると、本物は何も言わず自分のオリハルコンを取り出し、パッサートを睨みつけた。周りにも倒れる仲間たちは、少ししかない意識の中で、クロノの姿をなんとか見ることが出来た。一体何をするのか---------わかった人は分かったかもしれない。ミュレアとジャスティスは掠れ掠れの声で「止めろ!」と怒鳴った。いつもは何故か、何もかも気まぐれで厳しいミュレアも何故か止めてしまった。

「まあまあ。落ち着けって--------。それは確かに俺は死ぬ気マンマンだもんな。だけど、あいつがいる。俺と全く一緒の。そいつを代わりに使ってやってくれ。俺は、こんな厳しい人生からお先に抜け出してやるよ!!」

オリハルコンを振り回し、パッサートへと走り出す。オリハルコンを魔女へと投げ、風で操るように、ブーメランのように飛ばす。
だが、こんな攻撃虫の様だと手で弾く。そして、ついには飛んできたオリハルコンの存在を消してしまった。

「うあ----------やっちまったな。仕方ないか。あとは、俺の能力しかないな。おい、ヴィーヴル。後はこいつら頼んだぞー。」
『待て!どうするつもりなのだ!』
「--------お前、ホントトカゲだな。------------世界を救うんだよ。じゃな。」

偽者はもうなにがなんだか分からなくなった。オネスタも「くそ!」と言いながら走り出し、剣を抜く。ジャスティスは「テスカトポリカぁ!!」と呼ぶが、もう彼もつかれきって戦闘不能だった。

エルキも同じようにするが、ソルムスも電池切れ。ロッタも残り少ない意識を全部使って、後へ続くが-----------足がつかまれる。誰かにつかまれる。後を振り向くと、首を横に振ってミュゼットが半泣きである。

「ちょっと!離しなさいよ!」
「駄目だよ-----------自殺行為だよ。そんなことしたら、クロノさんだって喜ばない!」
「---------------くそっ!」

誰も助けられない。
誰も。
最後の力を使えない哀れな勇者は--------------
運命を変えるべく、運命の魔女へと立ち向かう。

パーテッサは鼻で笑い、手に大きなエネルギーの波動を溜める。
クロノは殴りかかるようにその波動へ突っ込んでいく。

クロノだって、世界を救うなんてことこれっぽっちも思ってなかったと思う。勝ち目の無い戦いだ。







決して勝てないこの戦場に立ち向かう------------千年前の神勇士。
それも、これにてか。


















Episode11「運命の魔女/二人の神勇士」