ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの彗星 ( No.22 )
- 日時: 2011/03/09 15:23
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: rs/hD2VF)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
トゥルースは神と呼ばれる竜を見て、あることを思い出す。ずっと前に家で読んだ神話にそっくりな竜・・・。
「ヴィ・・・ヴィーヴル・・・!」
「・・・へ?なんやて?ヴィーヴル?」
「サファイヤを司る、神竜だよ。ダイヤモンドの目をし、この世を象徴とする大きな体の持ち主・・・。」
クロノはヴィーヴルを見上げ、そのキラキラと輝くダイヤモンドの目を見つめてじりじりと後へ下がる。
「えっ、なんだ?弱くて愚かな人間を殺しに来たのか?」
『・・・違う。貴様だけを殺しに来た。』
「・・・俺だけを?」
ヴィーヴルは口を開き、大きく翼を広げた。そして全てを飲み込むような口で灼熱の炎を出す。周りにあった草を一瞬で灰にしていく。クロノは瞬時にオリハルコンを出し、炎を避ける。
「じゃあ・・・殺される前に、殺すってのはどうだ・・・?」
クロノはヴィーヴルの真下へ来て、鋭い刃を腹部へと突き刺した。血は噴出すもののビクともしなかった。さらに力を増し、太くて硬い尻尾でクロノを跳ね飛ばした。遠くまで飛び、近くにあった大木に背中を打ちつけた。
『フハハハハッ!!甘い、甘いぞ・・・人間!』
「くっ・・・、やるじゃん。デカイだけでなんも出来ないかなと思ったけど・・・。」
クロノはゆっくりと立ち上がり、フラフラしながらも大きく聳え立つヴィーヴルの元へと駆けた。また、炎を吐き出すが軽がる避けて次は背中を突き刺す。だが、案の定効かなかった。羽を素早く羽ばたかせ、強風を巻き起こしクロノを飛ばした。
『その程度か・・・!つまらぬわ!!』
「・・・しゃあねぇな。覚悟しとけよ、トカゲ!」
クロノは手を大きく広げ、力を込めた。すると、大気中の風や空気が集まり渦を作る。それはみるみるうちに大きくなっていった。ヴィーヴルも眉間にしわをよせ、様子見をしている。
「痛いぞ・・・。」
刃の風(ウィンド・ブレイド)-------------!!
風は刃のように鋭く、ヴィーヴルを包み込み、その体を切り裂いていった。さすがにこたえたのか、悲鳴をあげよろけている。そんな神を見て驚きもせずボーッとするしかないノーテたち。
「俺の勝ちだぜ、トカゲ・・・。」
『・・・しかと聞き届けた、貴様の執念・・・。我の宝石を大切に使うがよい・・・。』
そういうとヴィーヴルは石の中へと消えていった。さっきのはなんだったんだろうと不思議な気持ちになる。ハッと気づいたようにノーテはクロノに駆け寄った。
「お前、大丈夫かいな!ボロボロやん!」
「・・・これで大丈夫だって思ってる人はバカだよ。」
クロノは大木にもたれかかり大きくため息をついた。そうとうきつかったらしい。その向こうで、サファイヤを手にするジャスティス。太陽にかざせば神の紋章がキラキラと輝く。
「・・・ヴィーヴル・・・か。神は・・・本当に存在したんだな。」
そう呟き、宝石をクロノに返した。
「・・・絶対に大事にしろよ。無闇に扱えば、・・・死ぬぞ。」
「・・・わ、わかった。」
青く光る宝石は太陽に照らされ、神々しく輝いていた・・・。
Episode1「神と宝石/魔女の襲撃」 END