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Re: 僕らの彗星 【返信200突破!感謝感激雨あられでもいいわ!】 ( No.228 )
日時: 2011/05/25 21:48
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: n/BgqmGu)
参照: ペンタブやっと購入しましたよーっ!!

「これで三人だ。」

妖艶な笑みを浮かべる。
背筋がゾゾッとする。次は誰だ、自分かと思うと誰かを盾にして逃げ出したくなった。

「いい!お前たちは逃げろ!!」

ジャスティスは精一杯の力を振りしぼって、匍匐前進しようとするが、足が動かない。後ろを見ると、足が凍っていたのだ。「くそっ!」と舌打ちをし、地面を硬い拳で殴った。ロッタは「くぅ〜〜〜!!」と悔しそうな声をあげて、猛スピードでイツラコリウキヘ向かっていった。

「ば、馬鹿者!!」

ミュレアは体の傷などを忘れて、ロッタの前に立ちふさがって、押し出した。かなり遠くまで飛ばされていく。すると、気付かなかった傷の痛みが急に疼き出す。

「くそ……怪我さえしなければ!」
「愚かな。では、傷の痛みさえも忘れ去らってくれる!」

ミュレアがイツラコリウキのほうをいそいでみるが、間に合わなかった。大きな津波が真上へ飲み込もうとしていたのだ。舌打ちをして、手を大きく広げた。無理やり笑みを顔に出す。

「愚かな!!私は水を操るのだぞ!!逆に飲み込まれるがいい、氷鬼の悪魔よ!!」
「愚かなのは貴様のほうだぞ。耐えきれるかどうかもとっくに分かっているはずだ。どうだ?お前はもう、耐えきれんだろう。」

図星だった。
イツラコリウキの言うとおりだった。
もう少ししか残らない体力を赤の他人のために使うのが愚かだった。
敵いもしない相手に向かう自分が愚かだった。
もう耐え切れないくせに頑張る自分が愚かだった。

「あぁ、そうだ!!もう、疲れた!!-----------が、貴様を殺してやるまで私は……執念深く生きてやるさ!!」
「無理しないでよ、ミュレア!!」

ロッタの叫びも、津波の轟音で消えてしまう。クロノはオリハルコンを持ち、津波に向かって風の刃を投げる。津波は一気に切れ、ただの水になってしまった。

「------------れ、礼を言う……。」

ホッとしたのか、ミュレアは腰が抜けた。ビチョビチョの手を見て、今自分は生きていると自覚できた。クロノはオリハルコンを振り回し、偽物の方を見つめた。

「お前が言うのなら俺は死なない。-----------けど、一応生贄になっとくよ。その代わり、まだ生きてる俺の仲間と一緒に行ってくれ。」

なんなのだろうか。ずっと死んでしまえばいいのにと思っていたもう一人の自分を失いたくない……というような気になってしまっている。一体なぜ止めるのか。あいつが死ねば、世界を救える。のに、死なせたくないのは何故か。

だが、今出来ることはただ一つ。この世を救うこと。何も考えていない自分に付いていくより、敵だろうと仲間に付いていくしかないのだ。小さく頷き、ゆっくりと立ち上がった。

「行くぞ……。この世が終わらないうちに!」