ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 悪魔の遊園地 ( No.10 )
- 日時: 2011/02/27 18:40
- 名前: @yuna (ID: TeOl6ZPi)
(6)
ゲームが始まって7分が経過した。まだ、犠牲者は出ていない。
太陽「ママ…僕もう無理だよ…。」
皐月達の隣の観覧車にいる少年が声を出した。
早紀「太陽!お願い、我慢して!」
太陽「ママ、今まで育ててくれてありがとう。僕、ママの息子で良かった。たった7年間だったけど、ママと一緒にいれて良かった。大好きだよ、ママ。さようなら…。」
そのまま少年は落ちて行った。母親は、その少年をじっと見つめて、バーから手を離した。
『太陽、死ぬ時はママと一緒だよ』
と言いながら。
とうとう犠牲者が出てしまった。まだ幼い7歳の少年とその母親。可哀相な親子の仲間入りを果たした。
皐月「あ…あ…。蓮君…ついに…。」
蓮 「しょうがないんだ。俺達にはどうしようも…。」
皐月「蓮君…。でも私、考える。頭悪いけど考える。少しでも蓮君とか、他に乗っている一人一人のために…。」
蓮 「そっ…か。皐月、頑張れ」
蓮は下を向いた。皐月は、そんな蓮をじっと見つめていた。
皐月(蓮君は、何を考えているのだろうか…。)
そう思うばかりだった。
蓮 (俺は、皐月と同じように考えるしか無いのか。みんな助かってこの遊園地から抜け出せる方法は無いだろうか。どうしても思いつかない。答えが無い問題など無いはずなのに…。)
蓮は思った。
皐月は目を閉じて一生懸命考えている様子だった。何も思いつかないのだろうか。まったく口を開こうとしなかった。
蓮 「なぁ…皐月。俺達ってどこでどうして知り合ったんだろうか。」
皐月「…。」
蓮 「皐月…。」
皐月「中3の頃、隣の席になったときだよ。バカと天才だから、全然話さなかったけど、意外と趣味が合ったんだよね。洋楽好きとか、高校では軽音学部に入りたいとか。それで仲良くなったんだよ。」
蓮 「そうだったな。これで何回目のデートだろうか…。10回は行ってるんじゃないか?」
皐月「今日で13回目だよ。」
蓮 「数えててくれたのか…。」
再び二人に沈黙がはしる。
蓮は皐月をもう一度見て、ため息を二回ほどついた。