ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 悪魔の遊園地 ( No.25 )
- 日時: 2011/03/12 17:30
- 名前: @yuna (ID: qyuIaVem)
(11)
「タッタッタッ!!」
病室に向かう美加の足音が病院に響く。うす暗く静かな病院。窓から外の光が病院のイスを照らしていた。
「ガラッ!」
病室のドアが開く。
美加「信二!」
美加が見つめる先には、恋人の信二がいた。
信二「あ、美加。」
美加「信二、何?どうしちゃったの?交通事故って何よ。」
信二「いや・・・な?」
美加「な?じゃないよ!!本気で心配したんだから!」
信二「ゴメン」
1時間前の事だった。信二はバスケ仲間と一緒に道路を歩いていた。信号は青。車も少なく、横断歩道を歩いているのは信二達くらいしかいなかった。
亮介「あれ、斗真・・・ボールは?」
斗真「あ、あっちだ。忘れちゃった。」
信二「俺とってこようか?」
亮介「お、信二。よろしく」
信二は戻って手すりの横にかけてあるボールを手にし、再び横断歩道を渡り始めた。が、その時だった。
とても速く走る車が信二めがけてやってきたのだ。もちろん信号は青。その車は信号無視する気満々だった。
亮介「おい、あれヤバイよ。」
裕輔「信二!走れ!」
信二は車にやっと気づき、走り始めた。が、遅かった。
車は信二を直撃。信二は地とともにはねられ、道路に倒れた。
裕・斗・亮・竜「信二!」
竜哉「おい!携帯持ってるやつ!」
裕輔「俺持ってる!」
斗真「裕輔ナイス!救急車呼べ!」
バスケ仲間と、周りにいた大人たちが近寄ってくる。信二は酷い出血をし、病院に運ばれた。
なんとか命はとりとめた。信二の親は小さい頃に離婚し、母親はお金を貯めるため外国で働いている。「信二が20歳になったら帰ってくるね。」とだけ言い残して、連絡先も言わずに信二の前から消えた。それから、美加に出会ったのである。
信二にとって「美加」」は家族のような存在である。美加の言う事は何でも信じるし、美加にだけ親の事を話したほどである。
美加「信二がこんな事になっても、お母さんは・・・何も知らないんだよね?」
信二「おぅ。10歳の頃から顔も見てないし声も聞いてない。でも、合いたいとは思わないんだ。俺を捨てて、外国に行っちまった人の事なんて。」
美加「でも、本当は会いたいでしょ?」
信二「いいや、会いたいとは思わない。」
信二は首を横に振った。美加は下を向いた。