ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 悪魔の遊園地 参照100突破しました! ( No.27 )
- 日時: 2011/03/23 16:11
- 名前: @yuna (ID: bb2N.JWt)
(13)
空にヘリコプターが1台。それを見つめる皐月。
皐月「あのヘリから、私達見えてるかな?」
蓮 「そうだな。そうなってると願おうよ。」
「プルルルルル」
再び電話がなる。皐月は蓮の顔を見た。蓮は首を横に振る。蓮はもう限界だった。20分もバーにぶらさがり、片手を離せなど、それがたとえ命令だったとしても、蓮は絶対にバーを離さない。
皐月「あの女の子・・・泣きながら落ちて行ったね。」
蓮 「おう。5歳ぐらいの子だったな。」
皐月「あの子、きっと生きたかっただろうね。あんなに小さいのに、18分もバーにつかまって。私なら、5分くらいで落ちちゃうよ。」
蓮 「そうだな。」
2人は小声で話した。普通の声も出せないくらいの体力になっていた。
天音「私は死ぬんだ!!絶対に!!」
少女の声が観覧車中に響き渡る。少女はパニックになっていて、片手をバーから離していた。
浩介「コラ!迷惑やろ!死にたいなら死ねばいいやんか!ただ、彩音も一緒にな。」
彩音「パパ!!私はまだいける・・・」
浩介「双子やろ!天音も彩音も、死ぬ時は一緒や!」
彩音「だったらパパも・・・」
浩介「いや、俺はまだ死ねん。嫁さん残して死ねるか!」
親子がもめている。皐月達はずっとそこの親子を見ていた。
天音「パパ!あんたも死ぬの!」
彩音「天音?」
天音「彩音は生き残って。私はパパと死ぬ。」
少女は片手で男の手をつかみ、バーから手を離した。
浩介「天音!やめんかい!」
彩音「天音!」
男は手を振る。少女は両手で男の手を掴んだ。
天音「パパ・・・。」
浩介「わざわざ大阪から東京まで来て、死ぬんか!?俺は・・・」
男は手を離した。いや、『離してしまった』と言った方が正しいだろうか。少女と男は死んでいった。
彩音「パパ・・・天音・・・ゴメン。絶対生きるから。」
少女はずっと下を向き、少女と男の死体をずっと見ていた。
皐月「天音・・・って子。かわいそうだね。」
蓮 「よっぽど父親が嫌いだったんだろう。」
皐月「そうだね・・・。」
その時だった。急に手に力が入らなくなり、皐月はバーから手が離れてしまった。
皐月「蓮ーーーーーーー!!」
皐月が『蓮と呼び捨てで呼んだのは初めてだった。