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Re: 私の手は赤い薔薇 ( No.1 )
日時: 2011/02/25 21:27
名前: ゆう (ID: pkkudMAq)

【一生かかる呪いのかくれんぼ】

ことの始まりは、王女。
そして、一週間前に王女の性格は変わってしまった。

魔女の薬でも飲まされたように。
きっと、血を飲まされたのだ…そう、血 を———。

「うわー!!」

今日も、城には悲鳴が響く。今日、悲鳴を上げたのは城の兵士。
そこに、5人の兵士が助けに来る。

「っ…。お…王女…何をなされているのですか!?」
「見て分からないかい??こいつの、“身体”を食べているのさ。」

王女は、「来なかったほうが良かったかい??」と不気味に笑う。
兵士達は、悲鳴を上げながら王女の前から走り去ろうとする。だが、王女はそれを許さない。

「見られたからには、しょうがない。お前達を消さないとねぇ。」
「う…うわ〜!!」

兵士は、逃げようとするが目の前に壁を作られる。
逃げ場を失った兵士達は、泣きそうになる。

「そうだ、泣け。もっと泣け。そんな顔が私は大好きなんだよ。」
「王女、このことは言いません。ですから、命だけはお助けを」

一人の兵士が言う。王女は、考え込んでから、口を開いた。

「いいだろう。だが、一人だけだ。ここで、戦え。勝ったものが逃げ出せる。負けた奴らを食わせてもらうよ」

兵士達は、手元の槍を見つめる。
これで、仲間を殺す。兵士達には、考えられない事だった。

グッ

自分の命のためだ。
戦おう。兵士達は、槍を握る。力を込めて。

†     †            †

カシャン…

王女が作った空間には、複数の槍が落ちる音がする。
その音に、残念がるような顔を一瞬した王女だったが、「ふん」と鼻で笑った。

「兵士なんて、こんなものさ。にしても、5人いっぺんに死んだのか。残念だ。」

王女は、そういうと魔女に変化した。
そう、王女は魔女が化けた“偽”の王女だったのだ。

性格など変わっていない。
本人が変わっているのだ。王女はまだ、どこかに隠されている。

いつ、誰が見つけ出すかわからない場所に王女は隠されている。
いわば、【一生かかる呪いのかくれんぼ】だ…———。

END