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- Re: ヴェルデュキア戦記 第二編邂逅 ( No.16 )
- 日時: 2011/03/04 23:25
- 名前: Ley ◆SAvQ/U.Sqg (ID: BL8fZ.Pl)
ジリジリと紅の太陽がライ一行を照らす。
暑苦しい炎に抱擁されながら、ライ一行は延々とハルモニア草原を歩き続ける。
このままではライ、フレンダ、オスカーが炎にやられて憔悴してしまう可能性も否めない。
なるべく斟酌し、ただひたすら木陰を捜し続ける。
しかし…ハルモニア草原には、木陰どころか、木すらも見つけられない。
出発直後の大変な事態であった。
第三編 魔術師達
何故ライ一行がヴァルキュリア王国を抜け、ハルモニア平原に出た理由を綴ると莫大な時間を要する。
なので色々と要約し説明をしよう。
ライ一行…ライとオスカーはヴァルキュリア王国で充分に名を馳せた賞金稼ぎである。
しかし賞金稼ぎという一つの職業にはデメリットが多くあり、私怨で襲撃される可能性もある。
その危険性を回避するのが、移動、だ。
ヴァルキュリア王国を抜けすぐ眼に入るのはとても巨大な平原…ハルモニア平原である。
ハルモニア平原の北を通り、骨の穴を通り…タシュミット国に到着する、
それが今の第一目標だ。
フレンダも、父さんと母さんを殺された恨みがあり、その殺人者…否貴族ははるか北に位置するウーラノス帝国に居るという。
まずはそれを目指して、逃避行を行うつもりなのだ。
三人には、キチンとした逃避行をする理由が存在した。
「それにしても… 毒トカゲが多いな…」
平原を平淡と歩く中で、何度も何度も毒トカゲの姿を見る。
毒トカゲは20cm程しか無く、とても小さいので知らない間に噛まれているというのもある。
毒トカゲの持つ毒は神経性の毒で、舌から黄色い霧状の液体を発射し、それが肌に触れると一時的に体が麻痺して動けなくなる。
毒トカゲはとても弱い生き物であり、麻痺して動けなくなった旅人などを、竜や大蛇に場所を教え食わせるというのが一般的な社会における行為だ。
それで命を失った旅人の数もそう少なくは無い。
しかし今ライ一行は太陽による煉獄によって命を失いそうな気分でして…
「あ、あそこに木がある! 行きましょ!」
フレンダがそう大声で言うと、木の方向に一目散で走ってゆく。
まったく…木陰に餓えすぎだ…