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Re: ヴェルデュキア戦記 ( No.32 )
日時: 2011/03/19 17:08
名前: Ley ◆SAvQ/U.Sqg (ID: BL8fZ.Pl)



「そろそろだ。」
オスカーは以前冷淡な声で、白煙を広げる村の方向を凝視する。
白煙は空を見事に曇天にへと錯覚させ、一瞬目を疑う様に白煙は空へ空へと昇り続けて行く。
そんな白煙の元凶も徐々に見えて来て、ついに到着する。

「あー疲れた。 それにしても骨の穴で感じた寒気がまだ体に残ってる様な感じがして気持ち悪いわ……」
フレンダはそう、肩を竦めながら言う。
その言葉からは、何処と無く骨の穴を蹂躙する様な意が感じられる。

「おいおいフレンダ、旅に疲労と悲哀は付き物だぜ? まあ深呼吸でもして落ち着けよ。」
「落ち着いてるわよ!」
この静寂の中、小さな喧騒を生み始める二人に、オスカーはヤレヤレとした表情をしながら、先ほどまで動かしていた足を止める。

「まったくお前らは… いいから黙って進むぞ。 騒いでゴブリンに見つかったら元も子も無いしな。」
オスカーの言葉に少し蹂躙の意を感じたが、闊達なるライとフレンダはそれを無視して仕方なく同意した。











「ようし、宿についたぞー。 …それにしても酷い現状だ。」
オスカーが冷淡な表情など何処へ行ったかノンキな声でそう言葉を吐いた。
目的の宿を囲う塀の内側で、三人は炎に抱擁された村に寂寥感溢れながら佇む。

「……嘘……だよな……?」
ライ。 そしてフレンダが見た宿の現状は悲惨な物だった。
宿を囲う塀は所々穴が開いており、その塀の内側は炎で焼け焦げていた。
宿、いや…宿の他に様々な家もあったのだろう。 だがそれは無残に瓦礫という形で存在していた。
奥にあった宿は他の崩れた家と比べると、損害も少ない。


「宿はあそこだ よし、行くぞ。」
オスカーは言葉と共に宿の方向へ小走りした。
宿の中にはとてつもない恐怖がまっている事を知らずに。